栄村へ移住をお考えの方へ移住先市町村の話題
update : 2023.01.30
(日本一の大河•千曲川(新潟県域からは信濃川に)沿いに美しい里山と田園が広がる栄村)
長野県の最北端に位置し「にほんの里100選」にも選定される栄村。日本海側気候により全国でも有数の豪雪地として知られ、約1700人が暮らしています。
村は大きく北部と南部に分けられます。
北部の千曲川周辺地域は、美しい里山と田畑が広がる農村地域で、隣接する新潟県魚沼地域と同様に、良質な米の産地となっています。
南部の秋山郷地域は、苗場山や鳥甲山など2千メートル級の山々に挟まれた山峡地域であり、雄大な自然の宝庫。
また、マタギ文化や平家落人伝説が残る秘境としても知られています。
北部は「里の暮らし」、南部は「山の暮らし」という異なる暮らしが営まれる特色ある村。
今回は、栄村役場建設課移住定住担当の山田さんにお話を伺いました。
(移住定住担当の山田さん)
はじめに、栄村の移住者の傾向を教えてください
山田さん 女性で単身の方の割合が多いと思います。最近では、栄村の伝統工芸品「猫つぐら」に魅力を感じ作りたいとおっしゃる方や、村内に住む親御さんの面倒を見に帰ってこられた方がいらっしゃいます。
(豪雪地•栄村で培われてきた冬の手仕事。稲わらで編む「猫つぐら」は夏涼しく、冬は暖かい)
また、未就学児のお子さんをお持ちのご家族の方で「少人数での子どもたちの教育の場を与えたい」「自然の中で伸び伸び育てたい」と来られた方もいらっしゃいます。栄村に保育園は1カ所あり、園児の数は30人〜40人くらいになります。また小学校も1校になります。
猫つぐらは、どれくらいで作れるようになりますか?
山田さん なかなか作るのが難しいので1年、2年かけてじっくり先輩職人さんに教わって技術を身に付けていくようなものだと思います。
近年は「名人」と呼ばれる職人さんの高齢化が進み、年々その技術の継承が難しくなってきています。
(長野県の伝統工芸品、栄村の猫つぐら)
移住者にとって栄村の魅力はどんなところでしょうか?
山田さん 都会に住んでいた頃は、車で何時間もかけて行かなければ行けないところを毎日、朝起きたら新鮮な空気と美しい景色が目の前に広がっているという、なかなか手に入らなかった自然環境があると思います。
また周りの村民の温かさや「来る者拒まず」そういった大らかな魅力もあると思います。
(日本百名山のひとつ、長野県と新潟県にまたがる苗場山。
標高2145mの山頂は広大な高層湿原で、百数十種の高原植物が春から秋まで咲き誇り「天空の楽園」といわれる)
地域の住民の受け入れについてはいかがですか?
山田さん 「良く来たね」という感じで迎え入れて、地区ごとに行事や共同作業があるんですけども、そういったことにもお声がけいただいて、昔ながらの近所付き合いが残っています。そういう環境もあって地域に溶け込みやすい雰囲気がこの村にはあると思います。
(栄村役場周辺。
森宮野原駅前の商店街には診療所、薬局、旅館、美容室、衣料品店、スーパーなどが並ぶ)
お茶を飲む習慣も日常的ですよね
山田さん そうです。すぐお家の中に上がらせてくれて、お茶だけじゃなくてお菓子等もどんどん出てきて、田舎の閉鎖的なイメージとは違うなと思います。
補助金についてはいかがですか?
山田さん 若干ハードルが高いんですけど「栄村UIJターン就業•創業移住支援事業」がありまして、東京圏、愛知県、大阪府から移住した方に対して単身の方には60万円、2人以上の世帯ですと100万円の支援金があります。長野県内の登録された事業所に勤めた場合などいくつか要件はありますが。
栄村若者マイホーム支援事業補助金について教えてください
山田さん 栄村での若い方の定住を図るために、村内に居住する45歳以下の方、及び村外から定住を目的に移住する若者にマイホーム取得の費用の一部を補助するものです。
新築の場合は取得費が400万円以上の物件で200万円の補助、中古住宅ですと取得費が200万円以上の物件で100万円の補助。
空き家バンクの物件ですと、取得費の2分の1以内で限度額100万円です。
リフォーム補助金についてはいかがですか?
山田さん 村内業者の施工による住宅リフォームに要する費用の一部を補助します。対象となる工事は50万円以上になります。補助額は10万円で、空き家バンク登録物件は20万円が補助されます。
栄村克雪住宅普及促進事業補助金についてはいかがですか?
山田さん 雪下ろしによる身体的負担の軽減や作業中の事故を未然に防ぐため、村内の住宅の克雪化に要する費用に対しての補助金です。
「融雪型」(屋根に熱エネルギーの利用による融雪のための措置を講じたもの)克雪住宅については、工事費の5分の1が対象になり限度額は60万円です。また高齢者世帯等の場合は、工事費の4分の1以内で限度額は75万円になります。
(融雪型の屋根)
「自然落雪型」の克雪住宅につきましても、屋根の形状を切妻、片流れにするなどほかにも条件はありますが、工事費の5分の1で限度額は60万円で、高齢者世帯等の場合は工事費の4分の1以内で限度額は75万円です。
この形の屋根が村内では一番多いです。
(自然落雪型の屋根)
「雪下ろし型」の克雪住宅につきましては、工事費の2分1以内で限度額8万円です。雪下ろし作業の安全対策の向上が図られる命綱固定アンカーの設置、その他これに類する措置を講じた住宅になります。
(雪下ろし型の屋根)
こちらの3種類の克雪住宅について補助があります。
冬の暮らしへのアドバイスはありますでしょうか?
山田さん 車は4駆にスタッドレスタイヤは必須で、除雪されている道路については2駆でも大丈夫だと思いますが4駆をお勧めします。雪の量はその年によって違うんですけど、多い年は雪の片付けをしないと屋根の軒先に雪がつかえて家が傷むことがありますので、まめに雪かきすることが必要になってきます。
個人の住宅の雪かきについては、個人個人でしていただくことになります。
(JR飯山線の森宮野原駅。
駅前には昭和20年の豪雪の際、日本一の積雪•7.85メートルを記録した標柱が建てられる)
(過去、豪雪といわれた平成18年の累積降雪量は1828センチ、令和3年は1538センチ)
積雪量が多い分、子どもたちにとっては毎日が非日常の世界で雪と存分にたわむれるという感じで、ツナギを着て雪のかまくらを作ったり、そり遊びのような“けつ滑り”といわれる雪遊びを楽しみ、雪だからといって家に閉じこもることなく外で元気に遊んでいる光景が日常的にあります。
(雪の中で子どもたちがそり遊び)
これまではなかったんですけど、移住後のサポートということも考え、今年から冬を迎えるにあたっての備えとして、具体的に「どういうことをしたらいいか」とか「冬囲いの設置」とか新たに移住して来られた方にレクチャーさせていただくことを考えています。
(雪で窓ガラスが割れるのを防ぐため、木の板で囲う冬囲い)
空き家バンクについて教えてください
山田さん 物件は賃貸と売買両方あり、土地のみの取り扱いはありません。仲介は不動産業者さんにお願いしています。
(http://www.vill.sakae.nagano.jp/docs/1028.html)
物件数は、登録に向けての心理的ハードルが高いような傾向がありまして、今のところ伸び悩んでいる状況で、その辺をクリアできれば増えてくると思います。
人気の物件はありますでしょうか?
山田さん 古民家風の物件が人気ですが、そういう物件が出たらすぐ成約になる傾向にあります。いずれは希望の物件を探すお手伝いまでできるようにしたいと考えていますが、現状はなかなか難しい状況です。
空き家バンクの売り物件を一旦、賃貸で住まわれて、そのまま「この家だったら買いとってもいいよ」となれば、売買契約をしていただく対応もしています。
仕事探しについてはいかがですか?
山田さん お仕事についてはハローワークに募集を出している案件を、職業紹介にならない程度でご案内をさせていただくこともあります。
近隣の飯山市(車で30〜40分)や新潟県の津南町(車で約15分)の方にお仕事で行かれる方もいます。
地域おこし協力隊制度はありますか?
山田さん 令和4年度は閉め切ったんですけど、例年、募集をしています。受け入れ先は、森林組合さんとか地元の観光業者さんとか、地区単位であれば秋山郷地区など、そのときで変わります。任期は1年で、3年まで更新できます。
住まいはこちらで用意しています。
子育て支援についてはいかがですか?
山田さん 例えば、0歳から高校卒業までは医療費がかかりません。(窓口負担なし)あと小学校に上がるときに「入学祝い金」が1人10万円出ます。そのほか第3子以降の「にぎやか出産祝い金」(20万円)も出ます。
また森宮野原駅前に、村内の観光情報を発信したり、子育て世代の皆さんが交流できる子育て支援ルームや、林業関係団体が利用するスペースも設けられた複合施設「絆」があります。
最後に、移住についてアドバイスをお願いします
山田さん たくさんの方に来てほしいですが、「冬は雪との闘いなんですよ」というような雪に対する心構えというか、ある程度の覚悟が必要になると思います。夏の緑豊かな栄村を見ていると想像がつかないですが、冬の雪国をみると「大変なところに来ちゃったな」とミスマッチが生じる可能性があるので、一度、冬の栄村を訪れていただければと思います。案外、この雪に魅力を感じていただけるかもしれません。
(栄村各集落で行われる正月行事「道祖神(道陸神/どうろくじん)」)
当村にはスキー場もあります。リピーターの方が多く、遠方から毎年、来ていただく方もいて地元の人も子連れで来ますので、村民と触れ合う機会があるかもしれません。アットホームな場所です。また、村内には温泉もありますのでぜひ一度、遊びに来ていただければと思います。
(さかえ倶楽部スキー場/日帰り入浴もできる天然温泉宿•中条温泉トマトの国)
写真、地図:全て栄村役場提供
※記事の内容は取材時のものです。最新の詳細については市町村や取材元にご確認ください。
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