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update : 2022.09.16

写真(佐久平駅前からの眺望)、地図:佐久市役所提供

佐久市は、長野県下4つの平の一つ、佐久平の中央に位置し、市の中央を千曲川が流れ、浅間山、八ヶ岳、蓼科山、荒船山など雄大な山並みに抱かれた美しい高原都市です。1年を通して晴れの日が多く、夏は湿気が低くからっとしていて、標高およそ700メートルに吹く風は涼しく、夏でも朝晩はクーラー不要です。

また、市立浅間総合病院や全国的にも有名な佐久総合病院などに代表される充実した医療も佐久市の魅力であり、全国有数の健康長寿都市となっています。これに加え首都圏へのアクセスに優れており、北陸新幹線や上信越自動車道が市内を東西に走っています。さらに佐久小諸ジャンクションから八千穂インターチェンジまでの間が一部開通した中部横断自動車道は、南に向けて整備が進んでいます。

移住定住支援については、空き家バンク制度に加え新たに「お住まいオーダー」制度がスタートしたほか、移住や暮らしの相談などに対応するオンラインサロン「リモート市役所」がオープン。

今回は佐久市役所移住交流推進課の荻原課長、濱さん、栗原さんにお話を伺いました。

(左から荻原課長、佐久の鯉太郎ミニ、栗原さん、濱さん)

はじめに、移住者の最近の傾向はいかがですか?

荻原さん 昔はシニア層が多かったのですが、最近は20〜40代の子育て世代が多いなという印象があります。また、県外から転入したリモートワーカーの方に支援金を出しておりまして、申請状況を見ると、そういった方も増えているなと思います。

移住者が感じる佐久市の魅力を教えていただけますか

写真:佐久市役所提供(浅科五郎兵衛新田から浅間山を望む)

濱さん まず、東京からのアクセスがいいです。軽井沢は保養地として認知度が高いですが、観光客による車の渋滞などのイメージもあり、住むというより遊びに行くところという認識の方が多いのではないかと思います。
そういう点で佐久市は軽井沢に近く、東京まで新幹線を使い75分程で行けるところが魅力かもしれません。

写真:佐久市役所提供(佐久平駅(北陸新幹線・小海線))

あとは、佐久総合病院や浅間総合病院もありますし、地域医療が進んでいる街ということで昔から全国的に有名ですけど、10万人弱の市に総合病院が二つあるという地域はあまりないと思います。そういう点でも魅力を感じる方がいらっしゃるのだと思います。

(JA長野厚生連佐久総合病院/佐久市立国保浅間総合病院)

空き家バンクについて登録状況はいかがですか?

荻原さん 移住希望者のために、佐久市としては良質な物件を選んで公開しているのが現状です。

濱さん 空き家バンクは平成20年からスタートし10年以上たって、今は登録が一段落して物件がそれほど多くありませんが、佐久市では人が快適に住める物件に限定して登録することにしています。

例えば1千万円の物件を買って改築に1千万円掛かるような物件は登録を避け、1500万円の物件ですけどそのまま住める状態の物件を優先して登録していこうと、ここ数年、軌道修正して優良物件の登録に努めてきました。現在、ホームページ上で公開しているのが6軒です。最盛期は60〜70軒ありましたが、それが成約などで一気に減りました。
https://www.city.saku.nagano.jp/sakunikurasu/kanko/oidenanshi/index.html

写真:佐久市役所提供(空き家バンク物件)

市内の空き家が減ったわけではありませんが、「空き家をどうしたらいいか」というような所有者の結論がまとまらない状況です。空き家の状態が悪いケースもありますし、相続が困難なケースもありますし、しばらくこの状態は続くかもしれません。

空き家バンク登録物件内覧・ミニツアー動画配信について教えてください

濱さん 新型コロナウィルス感染拡大の影響により県内に来られない方で、空き家バンク登録物件の室内を見たいという方には、空き家バンクの利用登録をしていただければ動画で提供します。ただ実際に物件を見ないと良し悪しは分かりませんので、可能であれば直接、内覧されることをお勧めしています。

お住まいオーダーについて教えてください

濱さん 「お住まいオーダー」については、「こんな物件を探している」という移住希望者の要望を聞いて、それを物件所有者や不動産会社などにも情報共有できるよう佐久市のウェブサイトで公開して空き家情報を集めるというかたちで2021年1月からスタートしました。

物件の登録状況が落ち着いているということもあり何か新しい仕組みをと考え、今ではいくつかの自治体でもこの制度を取り入れているようです。物件については市内の物件ということで、空き家バンク登録済以外の物件も含まれます。

資料:佐久市役所提供(お住まいオーダーの流れ)

利用方法はホームページからエクセルの注文用紙をダウンロードして細かな希望条件を記入してメールしていただきます。その後、佐久市のウェブサイトでオーダー内容を公開して物件所有者や不動産会社さんから希望物件の情報を集めるというかたちです。
https://www.city.saku.nagano.jp/sakunikurasu/kanko/oidenanshi/teijusokushin/order-riyousya.html

手応えはいかがですか?

濱さん これまで17件ほど成約しましたが、主に土地が多いですね。佐久市の空き家バンクでは土地と集合住宅の取り扱いはしていませんので。

補助金についてはいかがですか?

荻原さん 転入して住宅を取得したときに、新築ですと最高40万円(住宅の新築費用または新築住宅の購入費用の2分の1以内で土地代は除く)、中古ですと最高20万円(中古住宅の購入費用の2分の1以内で土地代含む)、空き家バンク登録物件の場合は一律20万円の加算となる「移住促進住宅取得費等補助金」があります。

濱さん 空き家バンク物件の家財道具の片付けの補助金と部屋の清掃の補助金は、空き家バンクに登録している物件を市外の方が契約された場合のみ家主さんに対して補助されます。

荻原さん ほかにも、県外から転入してリモートワークをする場合は「リモートワーク実践者スタートアップ支援金」があります。

2021年から、移住を検討している方が生活環境や子育て環境を調べる目的などで佐久市に訪れるときの交通費や宿泊費等を補助するものもありますので、詳細はウェブサイトを参照いただければと思います。(https://www.city.saku.nagano.jp/kanko/ijyuteijyu/shien/index.html

移住セミナーなどについてはいかがですか?

荻原さん オンラインセミナーを平均すると月2回ほど行っております。それ以外に東京の「銀座NAGANO」でセミナーや個別相談を行っていますし、「ふるさと回帰支援センター」や県の楽園信州のセミナーにも参加しています。

写真:佐久市役所提供(荒船パノラマキャンプフィールド)

移住相談ではどのような質問が多いですか?

濱さん 冬の積雪や暖房、光熱費についての質問が多いですね。市街地に住んでいるのであれば平均的な冬で15〜20センチの積雪が年に数回ありますし、家の前の除雪が2〜3回必要になります。

歩道については積極的に雪かきをする住民がいない限り歩く人も少ないので、積ったままの状態で朝晩に凍って、日中解けて道路にしみ出して、それが夕方凍って道路が危険な状態になることもあります。

長野の中でも佐久の冷え込みは厳しいと思うので、平均より寒いと思います。ですので、凍結による道路の注意の話はよくさせていただいています。

暖房については、都会の方はエアコンをよく使うので「エアコンで電気代はどれくらいですか?」とよく聞かれるんですが、「ほとんどの方はエアコンで暖をとっていません」と。「ほとんどの方は寒いときに急速に暖める場合は、ファンヒーターを使っています」とお答えしています。しかも「余裕のある方はFF式の空気の入れ替えの必要のないファンヒーターを使っています」と。

「エアコンの場合は暖まった空気を維持することはできますが急速に暖めることはできません」と、そういうリアルな話をしておかないと「こんなはずじゃなかった」となりますので。

資料:佐久市役所提供(価格差等の大きな支出等内容例表)

また、移住希望者さんと話すときに「どのような生活をイメージされていますか?いつごろの予定ですか?」と、「自分がやりたいことや家族がやりたいことが定まっていた方が、スムーズにいくことが多いですよ」という話もさせていただきます。

写真:佐久市役所提供(茨城牧場長野支場から浅間山を望む)

それと他の地域で、移住者さんと地元住民がうまくいかないという話も聞きますので、そういうことにならないための見極めと説明も行っています。と同時に今後は地域の受け入れる側の住民に対しても「移住者さんはこういう方ですよ」という説明を行いたいと考えています。

佐久平駅南の土地区画整理事業について教えていただけますか

荻原さん 2022年の秋に大型ホームセンター、ショッピングセンターなど一部の商業施設がオープンする予定です。2023年春にはマンションが完成(すでに完売)するほか、住宅地などの土地利用が今後、図られていきます。

(土地区画整理が進む佐久平駅南)

佐久市内で人気のエリアについてはいかがですか?

荻原さん 佐久平や岩村田地区は人気がありますね。

濱さん  岩村田については、宿場町を中心としたエリアは密集しているんですが、土地も高いのでそこに家を建てるケースはあまりなくて、岩村田の今まで開発されていなかったエリアが人気で、小規模の宅地造成が行われています。

最後に、リモート市役所について教えてください

荻原さん 自治体では初となる「リモート市役所」というものが佐久市にはありまして、Slackを使ったチャット形式のオンラインサロンで移住関連のことをいろいろ質問したり、知ることができます。

リモート市役所には、市民の方や移住検討者、関係人口の方など、さまざまな立場の人が参加し、2022年8月現在では1,900名を超える方々にご参加いただいています。
「佐久市の写真」「佐久市の子育て」「佐久市おうち情報」「移住の質問部屋」などのチャンネルがあります。

例えば移住検討者さんが「佐久市で子どもと遊べる公園はありますか?」などと質問をすると、それについて地元の方などが「こういった公園がありますよ」と答えたり、他の質問者さんの書き込みを見ることができたり、そういったものも利用していただいて佐久市を知っていただくこともできます。

この取り組みは国内35の自治体•団体が参加した全国初の「シティプロモーションアワード」にて2021年、金賞・未来創造賞に選出され多くの反響をいただいています。移住を検討されている方や、移住後の生活を豊かにするツールとして、ぜひご活用いただければと思います

(リモート市役所
https://www.city.saku.nagano.jp/outside/citypromotion/salon/

※記事の内容は取材時のものです。最新の詳細については市町村や取材元にご確認ください。


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