坂城町へ移住をお考えの方へ移住先市町村の話題
update : 2021.11.16
写真(坂城町の全景)、地図:坂城町役場提供
坂城町は東信と北信の結節点に位置し、周囲を標高1000m級の山々に囲まれた比較的コンパクトな町です。主要産業は工業で多種多様な技術を持つ多くの企業が集積し「ものづくりのまち」と呼ばれています。また、国内有数の降水量が少ない地域で、晴天の日が多いため、リンゴやブドウの生産が盛んに行われ、工業を中心に農業•商業が融合する特色ある町です。
町の中央を国道が南北に縦断し、町内には高速道路のインターチェンジやしなの鉄道の駅が2つあり、通勤•通学など利便性も抜群です。さらにテクノさかき駅から北陸新幹線の上田駅までは8分、上田駅から東京駅までは北陸新幹線を使い約1時間30分で移動が可能です。
また、移住者のサポートも充実し、町の空き家バンク制度や補助制度もあります。
今回は坂城町役場企画政策課の大峡さんと高見澤さん、商工農林課の小河原さん、建設課の二見さんに移住促進への取り組みについてお話を伺いました。
(左から高見澤さん、川島さん、大峡さん、二見さん、小河原さん)
はじめに、移住者の傾向などをお伺いできますか?
大峡さん 坂城町には、“ものづくり”の大きな会社がありますので仕事関係で来られる方が多いです。
写真:坂城町役場提供(町の主要産業は工業)
二見さん 空き家バンクで空き家を探している方は、基本的に30〜60代が多く、家族で住みたいと思って探されている方もいらっしゃいます。
空き家バンクの状況はいかがですか?
二見さん 町の空き家バンクの物件登録数は、建物と土地を合わせ、平均すると常時20軒前後になります。空き家の所有者の意向によっては売買の他、賃貸も可能な物件もあります。(https://sakaki-akiyabank.jp/house-search/)
物件によっては公開して1、2カ月で成約となることもあります。多くは500万円前後で一軒家を探されているようですが、家族が多く広い家を希望される場合は1000万円ほどの物件も需要があります。
写真:坂城町役場提供(空き家バンク物件)
空き家バンクの問い合わせはどのようなものがありますか?
二見さん 物件の内見や交渉などがあります。まず、利用登録をしていただいておりますが、インターネットでの登録ができないので、遠方の方ですと郵送でのご登録となります。なお、空き家バンクサイト等による物件の閲覧につきましては、ご登録いただかなくても利用可能となっています。
その他、成約に至るまでの手順を知りたいという方や、利用登録のみを行い、ご希望に合う物件の登録を待つという方もいらっしゃいます。
空き家バンクの補助金についてはいかがですか?
二見さん 家財道具等の片付けやリフォーム工事にかかった費用の2分の1(上限10万円)の補助があります。物件の購入や借りた方のほか、所有者(売り主)も対象になります。(所有者は3年間、登録していただきます)
定住を目的として購入した物件のリフォームは、補助上限50万円(費用の2分の1)です。
他に補助金はありますか?
高見澤さん 移住定住促進補助金を用意しておりまして、町内に移住され家屋を新築されたり購入された方に対して一律10万円の補助をお出ししています。すでに町内に住んでおられる方で新築・購入された方も対象になります。また、家を建てる際に太陽光パネル(上限7万5000円)や蓄電池(上限20万円)などのスマートエネルギーに関する設備を付けられる場合の補助もご用意しています。
移住体験ハウスの利用についてはいかがですか?
大峡さん 移住体験ハウスを利用する方は、首都圏から来られる方が多く、アクセスの良さで坂城町を選んでいただいているところもあると思います。
東京からですと、新幹線を利用し隣の上田市の上田駅経由で1時間30〜40分ほどで来られると思います。
移住体験ハウスの利用は最大1週間で、寝具もご用意いたします。物件を探したり、実際に坂城町での生活を体験していただけます。
写真:坂城町役場提供(移住体験ハウス)
利用者の感想はいかがですか?
大峡さん 「静かで街を見渡せるような高いところにあるので、移住へのイメージが湧きました」とか「自然豊かなところで、ぜひこの町に住みたいと思いました」というような感想をいただいています。
気候はいかがですか?
大峡さん 坂城町は晴れの日が多いのが特徴でして、年平均降水量が689ミリで日本でも有数の降水量が少ない地域です。
写真:坂城町役場提供(晴れの日が多い坂城町、バラ公園)
高見澤さん また自然災害の少ない地域でもあり、比較的降雪量も少ないので暮らしやすいと思います。
日常の買い物などの利便性はいかがですか?
高見澤さん 町内のスーパーや商店だけでなく、上田市(車で15分)や千曲市(車で10分〜15分)が隣接しており、大型のショッピングセンターなどもあるので、それほど困ることはないかと思います。
子育て環境についてはいかがですか?
大峡さん 最近ですと妊娠•出産•育児について学びながら、プレママ(妊娠が初めての女性)同士や先輩ママとの情報交換ができる「ハッピーベビー教室」(プレパパ、その他ご家族も参加可能)が好評のようです。
写真:坂城町役場提供(ハッピーベビー教室でプレパパが妊婦体験する様子)
また、町内に保育園が3カ所、幼稚園が1カ所あり待機児童は0です。
保育園のおやつ代・おかず代が無料(3〜5歳)でしたり、第3子以降の保育料(0歳〜5歳)も無料です。
仕事面のサポートはいかがですか?
大峡さん 当町で起業・創業をお考えの方に関しては、費用面の補助やワークスペース貸出し等を行っています。
就農についてはいかがですか?
小河原さん 坂城町の特徴としてはブドウやリンゴなどが主な栽培品目になりますが、相談者の方の希望に沿うかたちで、どういった就農形態を実践するか個別に相談させていただいています。
写真:坂城町役場提供(ブドウ畑、リンゴ畑)
また、コロナ禍以前は、県が主催する県外者向けの首都圏における就農相談に一緒に参加させていただいていましたが、今はオンラインでの相談も増加しています。就農を含めた移住・定住を検討していただく上で重要なことは、実際に坂城町に来ていただいて、生活拠点となる自然や生活環境、子育ての状況を見ていただくことが重要かと思います。
また、農業の経験のない方には、農家の作業を支援する「アグリサポート事業」において、農繁期のお手伝いを通じて農業体験をしていただくことが可能なほか、県農業大学校においてもお試し体験や就農体験の受け入れを実施しています。
写真:坂城町役場提供(アグリサポート事業で就農体験)
多少農業経験がある方であれば、県で実施している新規就農里親制度を利用して、里親の元で研修を積まれる方もいらっしゃいますので、まずは就農適正があるか確認していただいた後、何を栽培して農業経営を確立していくか、個別にご相談させていただいています。
農地取得のサポートはありますか?
小河原さん 具体的にどの程度の農地が必要かお聞きしたうえで、条件に合う農地の借り受けのお手伝いをさせていただきます。農業委員会において農地の貸付け希望や、荒廃農地の貸したい•売りたいという意向調査もデータベース化していますので、そうした農地の情報提供のほか、場合によっては荒廃農地を解消するための補助金制度の活用も含めて支援を行っています。
例えばブドウの場合ですと、現状シャインマスカットの収益性が高いため、就農希望が高く人気となっていますが、条件の良いブドウ畑はニーズが多いため、農園を新規で整備していただくケースが大半となっています。
写真:坂城町役場提供(シャインマスカット)
新規就農者の支援などはいかがですか?
小河原さん 町単独助成としては「新規就農者支援事業」があります。前提となる要件がありますが、就農から5年以内に、「営農上必要な農機具を買いたい」などといった場合に購入資金の3分の1、上限20万円を補助しています。
移住定住の関係ですと、町外から転居される方は生活拠点がないわけですので、そういう方に対して就農から5年以内の家賃助成についても行なっています。補助率は月額賃借料の2分の1、上限2万円、空き家バンク登録物件は月額3万円となっています。
また、全国の自治体で行っている「農業次世代人材投資資金事業」では、他業種からの新規就農者は、就農のためのハードルが高いため、最長5年間、年120〜150万円を補助しながら、経営確立に向けた支援をしています。
今年から始まった「経営継承•発展等支援事業」では、経営発展につながる取り組みに対して上限100万円を補助する国の制度などがあり、各種支援制度が充実している現状をみると、「就農」という選択は追い風にはなっている気がします。
写真:坂城町役場提供
(坂城町の伝統野菜•ねずみ大根(辛味大根)の畑と町のマスコットキャラクター「ねずこん」)
最後に、移住相談会についてはいかがですか?
大峡さん 長野市を中心とする近隣市町村で形成する長野圏域で行なうオンラインでの移住セミナーを行っています。今年は春、夏、秋と開催しました。1回目は「子育て」を、2回目は「住まい」を、3回目は「起業・創業」をテーマに行いました。今後も行っていきますので、相談会の日程等詳細につきましては役場企画政策課までお問い合わせください。
※記事の内容は取材時のものです。最新の詳細については市町村や取材元にご確認ください。
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