喬木村へ移住をお考えの方へ移住先市町村の話題
update : 2021.07.16
アクセスマップ、写真(喬木村の河岸段丘):喬木村役場提供
喬木村は、長野県の南部、伊那谷を南北に流れる天竜川の東部に位置し、河岸段丘による豊かな自然に囲まれ、北を豊丘村、東•南及び西の村境は飯田市に接しています。県南部の中心地である飯田市への交通アクセスもよく、買い物•医療などの利便性が高いのが特徴で、2027年開通予定のリニア中央新幹線(品川まで約45分、名古屋まで約30分)の長野県駅からも車で約5分と好立地ですが、公共交通は便数が少なくマイカーは必需品です。四季の変化が明瞭で、鮮やかな新緑•紅葉を楽しめ、名産であるイチゴをはじめとした果物がとても豊かに実ります。冬は比較的温暖で雪が少ないのが特徴です。
子育支援にも力を入れ、小中学校では県内でも早くからICTを活用した授業を行っています。
今回は、喬木村役場企画財政課の宇野さん、喬木村教育委員会の長坂さん、空き家バンク担当の中塚さんに移住促進への取り組みについてお話を伺いました。
(左から長坂さん、喬木村イメージキャラクターのゴー、宇野さん、ベリー、中塚さん)
初めに、移住者が感じる喬木村の魅力を教えていただけますか?
宇野さん 地域おこし協力隊として移住された方が、そのまま喬木村の良さに気づいて定住されたり、「関東と比べて空気がおいしい」と言っていただいたり、子育て環境の良さに魅力を感じる方もいらっしゃいます。
写真:喬木村役場提供(星空と桜)
村内に製造業はあるんですがそれほど求人も多くないので、農業でイチゴ栽培をされる方もいらっしゃいます。また、飯田市へは車なら5分で行けますので、喬木村で暮らして仕事は飯田市とか隣の豊丘村へ行かれる方もいらっしゃいますので、そういった立地面で選ばれる方もいらっしゃいます。
地図:喬木村役場提供(南信の近隣エリア)
普段の暮らしについてはいかがですか?
宇野さん 南信には手軽に登れる山もありますし、天気もとても良いですね。晴れの日が多く過ごしやすいです。先ほども言いましたけど、飯田市にも近いので買い物も不便はないですし。
長坂さん 河岸段丘があるので上からの景色も良いです。
これからはリニアが開通するので、近くの飯田市座光寺の辺りは開発でお店などいろんなものができてくると思います。便利にはなるけど喧噪からは離れて、自然豊かでアクセスは良いという環境になっていくと思います。
写真:喬木村役場提供(アルプスの丘公園)
宇野さん 2027年開通予定のリニア中央新幹線では、品川まで約45分、名古屋まで約30分で行けるようになります。
リニア中央新幹線と三遠南信自動車道のルート図:喬木村役場提供
長坂さん また、三遠南信自動車道(長野県南部、愛知県東部、静岡県西部を通る高規格幹線道路)も全線開通すれば、より交通は便利になると思います。
三遠南信自動車道:国土交通省中部地方整備局飯田国道事務所HP(令和3年5月28日時点)より
空き家バンクの状況をお伺いできますか?
宇野さん 今年の4月にHPを一部リニューアルして空き家バンクの物件を公開したこともあり「どういう物件があるか?」とか「実際に内見をしたい」という問い合わせを県内外の方からいただくようになっています。登録自体は18軒ほどですが、改修や片付けが必要な物件もあり、公開しているのは6、7軒です。
コロナの関係とか地方に回帰という世の中の流れの中で、関東圏や中京圏の都市部の方が、田舎に目を向けているということも考えられます。
中塚さん 空き家バンクに登録したいという売り主さんや貸し主さんの問い合わせも徐々に増えてきています。
写真:喬木村役場提供(空き家バンク登録物件)
空き家バンク物件の補助はありますか?
宇野さん 空き家バンク登録物件の改修の補助(工事費の2分の1で限度額50万円)と不要品処分の補助(処分費の2分の1で限度額10万円)をしています。
また、住宅新築補助金として最大60万円(基本20万円で条件により加算あり)、住宅用地取得補助金として土地部分の取得費の3分の1以内で限度額60万円という補助もあります。
さらに、結婚された若いご夫婦の経済的負担軽減と村への移住定住の推進をするために、住居費(婚姻に伴い村内に自己の居住用の住宅を購入または賃借する際に要した費用)と引っ越し費用(引っ越し業者または運送業者へ支払う費用)を合わせて最大30万円の補助も行っています。
不動産店での探し方はいかがですか?
宇野さん 村内には不動産店がありませんので、飯田市さんの不動産店のサイトをご利用されて探される方が多いです。
どのような物件がありますか?
中塚さん 空き家は、5LDK以上で3世帯以上が住める広さが6、7割で、そこに農地が付いてくる物件が多いです。
宇野さん 農地は家庭菜園ができる面積から、いろいろな広さがあります。
中塚さん ただ、それほど大きな農地とセットで借りる方はいらっしゃらないので、分筆されて家庭菜園ができるくらいを希望されますが、広い農地も売られているので、農家で広くやりたいという方もいらっしゃいます。
宇野さん 喬木村の農地の取得の関係は、昨年度から要件が緩和され1アール(100平米)以上10アール(1000平米)未満までは取得しやすくなりました。農地の取得は農業委員会の兼ね合いもありますので、ご興味がありましたらご相談をいただければと思います。
新規就農される方はいかがですか?
宇野さん 若い方でイチゴをやる方がいらっしゃいます。イチゴに限りませんが、就農するための研修制度があり、地域おこし協力隊として村で雇用し、研修自体はJAさんで行っていただいて、2年後には村内で本格就農をするという枠組みを2年前から始めています。現在、3名の研修制度を利用されている地域おこし協力隊の方がいます。
写真:喬木村役場提供(農業研修)
お仕事はどのように探せばよいですか?
宇野さん 一般的にはハローワークさんで紹介してもらうのが主で、農業で言えば先ほどの地域おこし協力隊になって研修制度を受けていただくか、村内でもイチゴ栽培の研修を行っている団体もあるようですので、イチゴ栽培の勉強をしていただいたり、あとは近隣の飯田市さんや豊丘村さんの方でお仕事を探すケースも少なくありません。
写真:喬木村役場提供(県内屈指のイチゴの名産地)
子育て支援はいかがですか?
宇野さん 出産祝い金がありまして、第1子が5万円、第2子が10万円、第3子が30万円です。ただ現在、制度の見直しをしていまして、祝い金プラス一部は金額での支援ではなく、中学校に入学したときに制服を村から支給する方向で検討しています。あと筆記用具などの備品を支給するという内容も検討中です。
長坂さん 教育環境の魅力化ということで、早い段階から学校のICT環境の充実に力を入れた「GIGAスクール構想」として、一人につき一台PCを用意しています。喬木村の中学校では、5年前から一人一台PCを配って授業で活用しています。
小学校でも5年前から遠隔システムを使って、村内の2つの小学校の教室をつないで、「遠隔合同授業」をおこなっています。教室を大きな電子黒板の画面でつないで同じ教室にいるかのように一緒に授業をしています。小規模小学校が2校しかないので、人間関係が固定化しちゃうとか多様な意見に触れられないとか、そこを解消したいということで実施しました。
2つの小学校の子どもたちは、一人ずつタブレットを持っていて、そこに書いたことが同じ電子黒板に集約されます。そうすることで、みんなの考えを見ながら話し合いをすることができます。
ICT環境の整備は県内でも取り組むのが早く、平成27年から29年まではICTを活用した文科省の実証授業にも参加し、それ以降、今日まで通常の授業として取り入れています。
写真:喬木村役場提供(小学校のICT遠隔授業)
宇野さん 小規模校でも多様な意見を取り入れられ、充実した授業が受けられます。
長坂さん 小学校の親御さんからも好評で「中学校に上がる前に定期的にコミュニケーションを取れてそこの不安はなくなった」という声は多いです。
今は中学校の英語の授業は、グループに分けて一人一人の画面の向こうに海外の英語の先生がいて、マンツーマンで行なうといった活動も取り入れています。
写真:喬木村役場提供(中学校のオンライン英会話)
ICTを活用することで、海外やいろいろなところとすぐにつながれます。田舎で自然豊かな環境で暮らしていても、都会と遜色ない形で教育ができる。むしろ、それを超えていけるような田舎の良さも生かせます。
ICTを使っていろいろなことにチャレンジできるような教育を充実させていくことが目標です。
児童や生徒たちの反応はいかがですか?
長坂さん 5年前は長野県内でも先進的でめずらしいという感じで喜んでやっていたんですが、今は当たり前になっていて、小学生でも休み時間とかに自由にプログラミングでゲームを作ったり、タイピングもとても速くなっています。
コロナの関係でリモートワークだとかAIと言われる時代の中で、小学校の段階からICTの技術にしっかり触れて社会に出ていける、でも周りの環境は自然豊かで田舎の良さも生かしながら教育環境の魅力化を図ることで、移住定住につなげていければと思っています。
最後に、オンライン相談会は行っていますか?
宇野さん 去年は2、3カ月に1回は他の市町村と合同で開催していました。今年度も行っていくと思います。それとは別に村の方でも単独で開催できればと考えています。
一番参加者が多かったときは、南信州広域圏で開催した時に、実際に就農者の話を聞き「こういう制度があるよ」という話をしながら相談会を行いました。また、南信州広域圏で開催したオンラインツアーでは、各市町村の特産品などを事前に参加者にお送りし、オンラインで各市町村の要所要所をライブで映しながら特産品を食べていただき、現地を見ていくというツアーも過去には開催しました。ですので、ご興味がありましたら、ぜひ次回、ご参加いただければと思います。
(左から長坂さん、宇野さん、中塚さん)
※記事の内容は取材時のものです。最新の詳細については市町村や取材元にご確認ください。
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