伊那市へ移住をお考えの方へ


南アルプスと中央アルプスに抱かれ、豊かな自然環境と暮らしやすさを併せ持つ伊那市。春には高遠城址公園の桜が全国的に知られ、市内各地でも四季折々の景色を楽しむことができます。
近年は、自然と関わりながら学ぶ教育環境や子育てのしやすさなどに魅力を感じ、移住を検討する子育て世帯も増えています。
2024年度の移住者数は358人と過去最多を記録しました。
信州型自然保育「信州やまほいく」や特色ある学校教育など、子どもたちが主体的に学べる環境も注目されています。
今回は、伊那市の移住支援や教育環境、暮らしの魅力について、伊那市役所の地域創造課 移住定住促進係長・田中さんにお話を伺いました。

(伊那市 地域創造課 移住定住促進係長・田中さんと伊那市のマスコットキャラクターの「イーナちゃん」)
2024年度は、伊那市への移住者数が358人と過去最多になりました。どのような理由で伊那市を選ばれる方が多いですか?
伊那市 地域創造課 移住定住促進係長・田中さん(以下、田中さん) 豊かな自然の中での保育や、特色ある教育を求める20~40代の子育て世帯が多いです。

(中央アルプスを望む富県保育園の園庭で遊ぶ園児たち)
保育園や小学校ではどのような保育や教育が行われていますか?
田中さん 伊那市では、子ども主体の総合学習や地域資源を生かした信州型自然保育「信州やまほいく」など、自然の中で出会うさまざまな経験を通して「生きる力」のある子どもを育む教育・保育が行われています。
また、学区外から通学ができる「小規模特認校制度」があり、「豊かな自然の中での活動」や「少人数で子どもの個性を尊重したのびのびとした学び」が実践されています。対象校は、新山小学校、伊那西小学校、高遠北小学校の3校です。
さらに伊那市には、50年以上の歴史を持つ総合学習を核とした探究型教育で知られる伊那小学校もあります。

(伊那小学校でヤギと触れ合う児童たち)
自然豊かな伊那市ですが、具体的に暮らしのどのようなシーンでその魅力を実感されていますか?
田中さん 具体的なシーンとして、次のような例が挙げられます。
【「四季を五感で遊ぶ」子育ての日常】
市立保育園のほとんどが「信州やまほいく」の認定を受けていて、園児たちが夏も冬も森へ出かけ、泥だらけになりながら自然と対話しています。また、誰もが自由に出入りできる市民の森では、毎月、「たき火の日」が行われ、火起こしや森での遊び、マシュマロ焼きなど、大人から子どもまで誰でも気軽に参加できる場です。
ほかにも、通学路や近所の公園などで、子どもたちが季節の移ろいを色や匂いで感じ、木の実や虫を通じて命の尊厳を自然に学ぶ姿が日常にあり、このまちならではの豊かさを実感しています。


(森の中でマシュマロを焼く子どもたち/森の中を自転車で駆け巡る)
【「お裾分け」が生み出す温かな関係性】
移住者の方からは、ご近所から届く採れたての農産物や、そっと家の前に置かれる夏野菜など、自然の恵みを介した「顔の見える助け合い」がまちの至る所にあるという声も。これは単なる利便性ではなく、多様な個性が支え合うコミュニティーの温もりが、暮らしの大きな安心感につながっています。
【「自分を取り戻す」静かな時間と交流】
窓の外に広がるアルプスの山並みや、薪をくべる音、森の静寂、夜空の星。デジタルや喧騒から離れ、日常の中でふと「ありのままでいい」「自分自身を取り戻せる」ゆとりがあります。同時に、多彩なイベントや小さな集まりが盛んで、移住者も定住者も混ざり合い、共に楽しみながら、新しい価値を創り出しています。

(暮らしに身近な里山の風景)
移住者からはどのような感想が寄せられますか?また、都市部から来た方が戸惑いやすい点があれば教えてください
田中さん 移住してきた方たちは、こんな感想を持っているようです。
【良かったと感じられる場面】
・日本の四季を存分に感じることができる
・枝や葉っぱなど、自然の中には『おもちゃ』がゴロゴロ転がっていて、子どもの自由な発想や柔軟な感覚で独創的な遊びが楽しめる
・となり近所にそれほど気を遣うことなく、庭でBBQや花火、プールなど、都会のマンションや狭小住宅では経験・味わうことができないダイナミックな遊びが楽しめる

(里山の風景)
【都市部から来た方が最初に戸惑いやすい点】
自治会のこと、入区費、区費、地区役員、地域活動への参加などについて最初は戸惑われる方もいるようです。
伊那市に移住する前に、地域の文化・行事やルールなどを知ることができ、移住後のギャップ解消の一助となる「地域の教科書」を公開しています。
https://www.inacity.jp/shinoshokai/chiikinokyoukasyo/index.html
また、伊那市は公共交通インフラが充実しているとは言い難く、生活には「車」が必須のエリアです。
伊那小学校に代表される体験重視の教育について、移住相談ではどのような反応や質問が多く寄せられますか?
田中さん
【移住相談の中での反応や質問】
学校での探究的な学びや野外活動の具体的な内容を質問される方が多いです。移住相談の中で、資料を共有しながら詳しく案内しています。
伊那市の小学校はすべて公立なので、文部科学省の学習指導要領に沿った教育を実施しています。また、すべての学校で、宿題も単元ごとの確認テストもあります。
【都市部の学校と比較して、特に注目されやすい点】
50年以上の歴史を持つ「総合学習」が核の探究型教育で有名な伊那小学校の特徴は、チャイム・時間割・通知表がなく、子どもたちの主体的な学びを重視する点です。
学級単位での総合学習などを通じて、豊かな人間性と実践的な学力を育む学校です。


(伊那小学校でヤギと触れ合う児童/森での授業)
特色ある小学校教育に期待して移住される家庭に対して、市として事前に理解しておいてほしいことはありますか?
田中さん 伊那市の小学校は、15校すべての学校で、地域の方に協力いただきながら、地域の文化や伝統を大切にした特色ある教育を実践しています。
また、市の面積がとても広く、学区・エリアごとに実現できるくらしが大きく異なります。例えば、田んぼや畑「農ある暮らし」を実現しやすいエリア・しにくいエリアがあったり。
「こんなはずではなかった…」となると、移住してきた方も、迎え入れる私たちも残念です。そうならないためにも、まずは、市の移住相談や学校見学などを活用して、それぞれのエリアの特徴や実現できる「くらし」をしっかり確認してもらいたいです。
その次のステップとして、実際に伊那に足を運んでもらって、ご自身の目で学校の様子や学区のくらしの様子をしっかり確認してもらうのがよいかと思います。

(森での授業)
移住者・定住者に喜ばれている補助金はどのようなものがありますか?
田中さん 移住の際には「UIJターン補助金」が、定住者に対しては空き家バンクの補助金や、過疎地域・田舎暮らしモデル地域の補助金、新築住宅を建築される方には、いな住まいる補助金が適用になります。
○UIJターン就業・創業移住支援事業補助金
https://www.inacity.jp/sangyo_noringyo/work/hojoshiensemina-/uijturnsyugyousougyo.html
○空き家バンク補助金
https://www.inacity.jp/kurashi/sumai/akiyabank/akiyabank_daishizen.html
○過疎地域補助金
https://www.inacity.jp/kurashi/hojo_enjo/hojo_sonota/kasochikiteiju.html
○田舎暮らしモデル地域補助金
https://www.inacity.jp/iju/kurasu/174inakagurasi.html
○いな住まいる補助金
https://www.inacity.jp/iju/ijunoshien/sumai_jyosei/jyutakusyutoku/inasumairu.html
上記以外にも、薪ストーブ・ペレットストーブ・ペレットボイラーに対する補助や、自然エネルギーを利用した住宅設備の設置に対する補助もあります。
また、それぞれの補助には受給要件があります。詳細については、市役所までお気軽にお問い合わせください。
有名な高遠城址公園の桜以外に、春の伊那市ならではの楽しみ方があれば教えてください
田中さん
【春ならではの景色】
高遠城址公園の桜は素晴らしいですが、市内にも各所に桜の名所が点在しています。



(伊那市の桜)
「日本一の桜の里づくり」計画
https://www.inacity.jp/shisei/kakushuplanshiryo/toshikeikaku/sakuranosatozukuri.html
伊那さくらマップ
https://www.inacity.jp/kankojoho/sakura_meisho/ina_sakuramap.html
【春ならではの過ごし方】
山菜採り、田植え、春の高校伊那駅伝など春ならではの風景や行事を楽しむことができます。
https://www.inacity.jp/shinoshokai/ina_shokai/inanoharuwotanoshimu.html

(中央アルプスと田園風景)
移住相談の体制について教えてください
田中さん 伊那市では、地域創造課に「移住・定住相談窓口」を設置しており、8名の相談員が、オンラインおよび対面でみなさまからの移住相談に対応しています。また、夏~秋を中心に、東京・名古屋・大阪などでの移住セミナーや相談会にも出展しています。
市内のエリアの案内・保育園や学校の案内・住まいや仕事探しのお手伝い・補助金の案内など、ワンストップで移住相談に対応しています。伊那に引っ越してきた後、伊那市に永く住み続けてもらうための「定住サポート」も私たちの窓口で行っています。
田舎暮らしモデルハウスのおすすめの利用方法を教えてください
田中さん 木の香りに包まれながら、夏は心地よいそよ風を感じ、冬は雪を見ながら薪ストーブで団らんなど、四季を感じる生活が体験できます。
近年の温暖化の影響で一昔前ほどの避暑地感はないですが、エアコンがなくても夏も快適に過ごすことができます。モデルハウスの利用者限定で、BBQグリル・たき火台のレンタルサービスをご利用いただけます。
また、冬は薪やペレットなどの木質バイオマス燃料による暖房設備で「伊那市らしい」寒さと、薪ストーブ・ペレットストーブの暖かさがある暮らしを体感できます。
https://www.inacity.jp/iju/kurasu/inaka_model_house2.html



(田舎暮らしモデルハウス)
伊那市が進める『関係人口』の取り組みについて、どのような効果があると感じていますか?
田中さん 「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様にかかわる人々のことを指します。
「伊那市ふるさとワーキングホリデー」は、農業・林業・観光業など市内の事業所で働きながら、2週間から1カ月の間、伊那市で暮らす中で、働く仲間や地域、伊那市の「人々」とつながり、「伊那市のファン」を増やし、伊那市への再訪や移住のきっかけにつなげる事業のひとつです。
事業が始まった2021年度以降、約100人がふるさとワーキングホリデーで伊那市を訪れています。ワーホリでつながりができた事業所で働くために再訪するなど関係人口の創出や、約20人の定住人口を生み出すなど、「関係人口の創出」と「移住・定住の促進」に効果がある取り組みです。


(伊那市ふるさとワーキングホリデーの様子)
最後に、伊那市の暮らしを知るために、まず体験してほしいことや、おすすめの季節があれば教えてください
田中さん まずは伊那市に足を運んでみてください。草の匂い、水の冷たさ、山との距離感、風のここちよさなどを五感で体感してほしいです。
そして、桜の春、田植えの初夏、祭りやイベントの盛夏、紅葉・新そばの秋、アルプスが冠雪する冬など、豊かな四季を感じてください。
個人的には、伊那市らしい厳しい寒さと、薪ストーブの暖かさがある暮らしを体感できる「冬」がおすすめです。
■写真、地図:全て伊那市役所提供

