信州へ移住をお考えの方へ
移住者の声
木曽地区
南木曽町
南木曽町移住体験談 立野様ご夫妻
update : 2023.10.24
地図、写真(南木曽岳の麓、木曽川が流れる秋の南木曽町):南木曽町役場提供
南木曽町は長野県の南西部、木曽谷の南端に位置します。面積は215.93km2で、そのうち94%が森林で占められており、うち7割が国有林の自然豊かな町です。町の中央を流れる木曽川とその支流をはさむ段丘に、与川、北部、三留野、妻籠、蘭、広瀬、田立の7集落が広がり、人口約3800人が暮らしています。
木曽川沿いには南北にJR中央西線と国道19号が走り、東西には、国道256号が伊那谷に通じています。隣県の岐阜県中津川市までは約22km、県内近隣の木曽町まで約35km、飯田市まで約35kmの距離にあり、古くから伊那谷、木曽谷、東美濃を結ぶ交通の要所でした。
町の移住支援については、空き家バンク、各種補助金、移住ガイドブックの製作、子育て支援、窓口相談のほか、オンライン移住相談も行っています。
今回は町の空き家バンクで念願の古民家を購入し、自然の中で伸び伸び子育てをしている立野さん夫妻にお話を伺いました。
(立野さん夫妻)
はじめに、移住の経緯を教えていただけますか?
ご主人 2人で一緒に暮らし始める前は妻が、木曽郡の上松町に住んでいました。僕は名古屋に住んでいて、仕事は在宅のリモートワークだったんですが時々、仕事で名古屋の会社に通う必要があるということで名古屋にも近いし、妻の働く上松にも近いしということで南木曽町を選びました。
家探しはどのようにされましたか?
奥さま 最初、結婚してから家を探していたときに、空いていたのが南木曽町のアパートだったのでそこに入居していたんです。
そして3年くらいたって、子どもが生まれる前くらいに「子どもが生まれたら、いよいよ家を探さないとね」ということで町の空き家バンクに登録したんです。もともと私には、古民家に住みたいという希望もありましたし。
それで子どもが生まれて3日目くらいに役場から条件に合いそうな物件があるとちょうど連絡があって。
ご主人 最初は知り合いとかに聞いて人づてにも探していたんです。知り合いの知り合いが家を手放したいということもあったんですけど、なかなか希望に合う物件がなかったんです。
どのような希望条件でしたか?
ご主人 昭和の時に造られた家とかではなくて、築100年はたっている木の古民家ですね。
奥さま 最低でも戦前の古民家を希望していました。
それと、たまに夫が中央西線の電車に乗って仕事で名古屋に行くことがあったので「駅に近いといいね」というのは話していました。
古民家にこだわって探されていたそうですが?
奥さま 南木曽町の前は上松町に住んでいたんですけど、その前は東京に住んでいて、当時から古い物がずっと好きだったんです。
古民家のリノベーションについて教えてください
奥さま ここは2年ほど空き家になっていたんですが、リノベは地元の大工の方にお願いして、間取りは変わってないですけど、水回りは現代風にしてもらいました。
また、南木曽町では、空き家バンク物件のリノベをするときに町の補助制度を利用することができます。
ご主人 窓や玄関は断熱性能を高くしてもらいました。もともと古い家で使っていた扉とか障子はできるだけ再利用して、昔のまま使ってほしいというのは伝えました。
(購入した古民家のリノベ後の玄関)
奥さま 玄関の入り口のガラス戸は古いままです。
ご主人 げた箱は、大工さんが収納するものに応じて中の仕切りを調節して靴以外にも収納できるように手を入れていただきました。
階段はどの辺をリノベされましたか?
(階段)
奥さま 階段の壁のところは昔、囲炉裏の上の空気孔だったところで吹き抜けになっていて、土壁になっています。
ご主人 階段左の木の壁は、途中から土壁になっているんです。
ここは前の人も使わないで、埋めていて何十年もたっていたんですけど、解体のときに出てきて、天井も高くなって光りも入るので「なかなかいいね」ということで保存しようと。
奥さま それで階段にしてもらって残しました。
ご主人の仕事部屋についてはいかがですか?
(ご主人の仕事部屋)
奥さま 2階は昔、蚕部屋だったんです。購入時には、すでにリフォームして部屋にはなっていたんですけど、夫の仕事部屋にするということで壁は張り替えました。
ご主人 床は畳からフローリングに替えました。
古民家で暮らしてみていかがですか?
奥さま 前のアパートよりは圧倒的に住みやすいですね。木造なので断熱材はいっぱい入れてもらったんですけど、冬は少し寒いときもありますが。でも夏は、1階は涼しくてすごくいいです。
(朴(ほお)の葉を手に持つ娘さん。木曽では初夏の名物として朴葉巻や朴葉寿司などが有名)
ご主人 広くて生活しやすいのと、庭に花とか野菜を植えて子どもも遊んだりできるので、こういうのはアパートだとなかなかできないのでいいなと。
家庭菜園では何を植えていますか?
(娘さんがイチゴを取っているときの様子)
奥さま ミニトマトやミョウガ、ハーブ系はローズマリーやラベンダー、ミントなどです。フルーツ系は、イチゴ、ブルーベリーなどです。スイカも植えていますけど、まだ大きくならないですね。
ご主人 僕はイチジクだけ植えました。
(ご近所で梅を取らせてもらって、家で作業をしている様子/
ご主人と娘さんとネコ)
子育て環境についてはいかがですか?
奥さま 周りの方から声をかけていただいたり、認知していてもらえるというのは安心感があります。子どももあいさつをしたり、仲良くしてくださるので、ありがたいですね。
ご主人 近所に住んでいる方が、親しくしてくれるのはいいですね。
奥さま 娘はこども園に通っているんですけど、「信州型やまほいく」の認定を受けていて、先生方も熱心ですごく良いです。1歳からの未満児も通えますし、今のところ待機児童もいないです。
(※「信州やまほいく」とは、幼児期の子どもを対象に、屋外での遊びや運動を中心にさまざまな体験を深め、知力と体力も同時に高めることができるとされる全国的に注目を集める新しいスタイルの保育・幼児教育。長野県では、2015年より「信州型自然保育認定制度」をスタートし、より親しみやすいよう「信州やまほいく」を愛称として普及に取り組んでいる)
写真:南木曽町役場提供(なぎそこども園での様子)
ご主人 こども園では自然に触れ合えるように畑をやっているので、子どもたちも毎日、畑のお世話をしたり、園の中でオタマジャクシやカブトムシなども育てているので観察したり。
奥さま そういう、子どもたちが自然と触れ合える環境にしてくださっているのはいいですね。私と夫は都会にずっと住んでいたのでそういう経験はなく、それを見ているとうらやましいなと。子どもも楽しんで通っていますし、充実しているみたいですね。
(冬、ソリ遊びを楽しむご主人と娘さん/近所の池で散歩する奥さまと娘さん)
周りでは移住者は増えていますか?
ご主人 移住してきて、「やっぱり帰ります」という人は少ないと思いますし、毎年何人かは移住してきます。あと、もともとこちら出身の方が県外で暮らしていて、子どもが大きくなったということで地元にUターンされた方もいますし。
南木曽町に来られたときに、地域への入りづらさはありましたか?
奥さま なかったんですね、ありがたいことに。地元の方からも自然な感じで受け入れてもらっています。声かけてくれたり、畑にもよらせてもらったり、ごく自然な感じですね。
(近所の住民の畑に立ち寄る奥さまと池を眺める娘さん)
最後に、移住を考えている方にアドバイスなどはありますでしょうか?
ご主人 名古屋にいたときは好きなアーティストのライブとか展覧会とかあって行きましたけど、今は全然行けてないですが、そういうのがなくても自分自身で畑をやったり、山登りとか、子どもにもそういうのを体験させたいという考えなら、南木曽町はいいんじゃないですかね。
奥さま 自分の生活スタイルが都会に合っているのか、田舎にあっているのか、どっちに重きを置くかだと思います。
ただ南木曽町の場合は、自然に囲まれていますけど名古屋には出やすいので、その辺は安心じゃないかなと思います。名古屋までは電車で80〜90分で行けるので完全に田舎暮らしという感じではないと思います。
あと、子どもを育てるにはすごくいい場所だと思います。
ご主人 住まいについては、いきなり家を買ったりするんじゃなくて、最初はアパートに入ってお試しで暮らすのがいいと思います。住んでみて「やっぱり違うな」と思うかもしれないので。
また、長野県の場合はIT関連事業の個人・法人を対象にお試しで仕事をしながら移住を体験できる「おためしナガノ」(https://otameshinagano.com/ ※申し込み期限があるので要確認。2023年度の募集は終了)という制度もあるので、選択肢はいろいろあると思います。
■写真14枚:立野さま提供