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野沢温泉村

野沢温泉村移住体験談 塚越様

update : 2022.03.24

写真、地図:野沢温泉村役場提供

国内で唯一、村の名前に温泉がついている野沢温泉村。13の外湯は村民の共有財産として暮らしの一部になっています。村の人口は3400人余り。長野市から北に50キロほどの北信に位置する豪雪地で、国内トップクラスの広さを誇る「野沢温泉スキー場」や、日本三大火祭りの一つ「道祖神祭り」は、国内外の観光客でとてもにぎわいます。
また、信州郷土食の定番•野沢菜発祥の地としても知られています。

近年は移住定住に向けた支援も充実し、空き家バンク制度に登録された中古住宅を購入•リフォームされる移住者を対象とした中古住宅購入補助金のほか、冬の4カ月間の生活を体験できる「おためし住宅」が2棟、整備されています。

今回は、おためし住宅での暮らしを経て、東京より移住された塚越さんにZOOMでお話を伺いました。

写真:塚越さん提供(奥さまと息子さんが手に持つのは、野沢温泉スキー場のゆるキャラ「ナスキー」。

はじめに、移住された経緯からお伺いできますでしょうか?

写真:塚越さん提供(塚越さん家族、野沢温泉スキー場にて)

奥さま 移住する前は東京に住んでいましたが、信州には月に2回ほど遊びに来ていました。子どもに雪景色を見せてやりたいと思って連れてきたのがきっかけで、野沢温泉村にもスキーで何回か遊びに来ていたんです。

私も主人もスキーは趣味程度のレジャー感覚でしたので、子どもをスキースクールに入れたんです。そこで友達ができたり、温泉や温泉街の雰囲気が好きになったり、あと夕焼けがすごくきれいで子どもたちと「野沢温泉いいね!」とずっと話していました。

たまたま役場のホームページを見たところ、「4カ月間、冬の間、お試しで住んでみませんか」という募集があったので、子どもに話したところ「転校してでも行きたい」と言いだしたので、応募して2020年の12月に来ました。

写真:塚越さん提供(豊郷地区の夕焼け。遠方には妙高山、火打山、飯綱山)

大きな決断でしたか?

奥さま 実は野沢温泉以外に別の地域へ移る予定で仕事をやめた後だったので、動きやすかったというのはありますね。結局、その予定はコロナの影響で変更になりましたが。

子育ての方針として子どもの「楽しい、やりたい」という気持ちを優先したかったのと、主人も私もセカンドハウス的な場所が信州に欲しいとずっと考えていました。北アルプスが好きなので安曇野とか松本あたりも候補だったんです。

「野沢温泉もいいんじゃないの」という話もしていましたが、ただ、豪雪地帯なので「冬を体験してみないと家は買えないよね」と話し合い「だったら1回行ってみるか」と、ちょうどいいチャンスだなというのもありました。

おためし住宅での4カ月間の暮らしはいかがでしたか?

写真:野沢温泉村役場提供(おためし住宅。12月〜翌年3月までの入居が可能。家賃は月々4万円、光熱費込み)
http://www.vill.nozawaonsen.nagano.jp/living/otamesichirasiannai.pdf

奥さま 子どもの学校のことがあったので、どのくらいなじめるのかを気にしていましたが、小学校ではスキーの授業がたくさんありますし、学校から帰ってからも雪の中で楽しそうに遊んでいました。冬休みも毎日スキーへ行き、とても楽しそうでした。

写真:塚越さん提供(息子さんたち。野沢温泉スキー場からは妙高山の眺めも絶景)

豪雪地でも1カ月くらいなら耐えられるかなと思いますけど、雪の降り初めから雪解けまでの4カ月間、住んでみて本当に雪の暮らしになじめるかということは考えていました。

写真:塚越さん提供(おためし住宅にて、正月飾りの前で息子さんたち)

「おためし住宅」で暮らして、村の人とのコミュニケーションがたくさんとれたのと、村の独特の習慣があり、それも知った上でどうしたいのかを判断できたので良かったです。

コミュニケーションはどのようにとられましたか?

奥さま 野沢温泉独特の習慣で、外湯(共同浴場)が13カ所もあるので、必ず子どもと入りに行きました。頑張って通うことで「村の人に顔を覚えてもらおうね」と、そこでコミュニケーションをとるようにしました。

また、3学期はゲレンデで授業があり親が付き添って行くので、その関係で保護者間の交流ができ、部活のスキーの付き添いでもママ友が増えたので、分からないことなどは教えてもらうようにしました。

外湯は13カ所もあるんですね

写真:野沢温泉村役場提供(野沢温泉のシンボルともいえる大湯)

奥さま 深夜は入れませんが、基本的に毎日入れます。
今は豊郷•中尾地区に住んでいるので一番大きい「中尾の湯」に入っています。

写真:野沢温泉村役場提供(中尾の湯)

村民の方は、効能で選んでいるみたいです。傷ができたりすると「熊の手洗湯がいいよ」とか「虫さされはこっちがいいよ」とか、村のおばあちゃんたちに教えていただきました。

私も東京時代、ブヨに刺されたときは治るのに1カ月くらいかかりましたけど、野沢では温泉効果で5日くらいでよくなりました。

野沢温泉ならではの利用法もありますよね

奥さま トウタチナ(野沢菜の花)やコゴミ、山菜などを「麻釜」でゆでるとえぐみが取れすごくおいしいので、子どもたちも喜んで食べます。
11月頃になると、洗濯場と呼ばれる場所で住民の方々が野沢菜を漬ける前に洗う習慣があり(お菜洗い)、風物詩になっています。

写真:野沢温泉村役場提供(野沢温泉の台所とも称される麻釜。30余りある源泉の一つ)

半熟の温泉たまごは「十王堂の湯」「松葉の湯」「熊の手荒湯」などで作れるので、散歩ついでに入れて帰りに取り出してくるという感じです。

4カ月間の体験暮らしのあとはどうされましたか?

奥さま 「おためし住宅」で暮らして子どもたちも気に入ったので、残りたいという話になり今、住んでいる豊郷地区の「移住準備住宅」を役場の方に紹介していただき、2年間、お借りすることができました。

生活コストなどはいかがですか?

奥さま 以前の「おためし住宅」の光熱費は使用量のみ(基本料は村負担)でしたが、今の「移住準備住宅」は光熱費と家賃を支払っています。

備え付けでガスファンヒーターが付いていて、換気口が外に出ているので換気しなくていいので楽ですけど、プロパンガスなので都市ガスに比べるとガス代はかかりますよね。あとは、灯油の石油ファンヒーターも使用しています。

他にも、野沢温泉ならではの「湯仲間」という制度が昔からあり、それぞれの外湯を周辺住民で管理•維持していて、区費のようなかたちで水道代や電気代を納めています。旅館を経営している方が多いので建物の広さや世帯人数で区費は変わりますが、わが家は月に換算すると、数百円です。家のお風呂を使わないのでその分、ガス代と水道代が安くてびっくりしました。

子どもがスキーや遊びから汗や泥まみれで帰ってきても、そのまますぐ「外湯にいってらっしゃい」みたいな感じです。

写真:塚越さん提供(上.スキー帰りの息子さん/下.中尾の湯へ向かう息子さん)

窓は二重サッシにするのがお勧めです。風が強いと窓の隙間から鍵をかけていても雪が入ってくることもあります。水道管や給湯器が凍結しないように対策する費用も必要です。やはり冬の備えには一定の費用がかかります。

1年暮らされて豪雪地の冬はいかがですか?

奥さま シーズンにもよりますが、今年はほぼ毎日、朝、夕方と雪かきをしています。朝、スキー場行って帰ってくると除雪しないと、家に入れないみたいな…。去年は12月にまとめてすごく降ったんですけど1月、2月はそれほどでもなかったです。

雪かきについても、それぞれの家で雪の処理の仕方で異なります。融雪用の池や川があって雪を流せる所は比較的、楽な気がします。
その融雪用の池がないと、除雪した雪をどんどん上に高く上げていったり、トラックに積んで排雪したりするので体力を消耗しますし、費用もかかります。

また、家の前が融雪道路かそうでないかでも違います。
以前の「おためし住宅」のときは融雪道路だったので雪が解けやすく、除雪用ブルドーザーが入らないので自分の好きな時間帯に除雪ができました。

写真:塚越さん提供(融雪道路)

今の所は前が融雪道路じゃないので、ブルドーザーが来た後に押し分けた雪が家の敷地にこんもり入ってきちゃうんです。それをかき出さなきゃいけないので、ブルドーザーに合わせた雪かきの時間帯があります。場所によっていろいろです。

屋根も自然落雪する「方流れ」の形状かどうかでも違います。今回の家は自然落雪する形状なので勝手にドーンと落ちてきます。

写真:塚越さん提供(塚越さん家族が住む移住準備住宅)

この家の1階は車を止められる車庫になっていて、その上に2階建ての住居があり3階建ての造りになっているので高さがありますが、雪ですごいことになっていて、雪山が3階を超えているんですよ。見えます?この雪山、2階から見てこんな風景で、電線を超えています。

(2月22日の午前11時ごろの野沢温泉村の積雪は2m74㎝)

大雪ですが、スキー場には良いですね

奥さま 今年は特に雪が多くパウダーなので、ファットスキーなどで滑るにも楽しいです。
コースが多様性に富んでいて広いので、初級者の方も安心して滑れるスキー場です。

 写真:野沢温泉村役場提供(野沢温泉スキー場)

ゲレ食は個人で経営されているお店が多いので、いろいろ選べるし、おいしいです。2017—2018のゲレ食バトルでは「照焼きチキンの野沢菜ピザ」が2位で、2013—2014の第1回のときは「野沢菜ビーフステーキライス」が1位だったようです。

村の雰囲気はいかがですか?

写真:野沢温泉村役場提供(グリーンシーズンの野沢温泉村)

奥さま 夏と冬では雰囲気は違うと思います。冬は季節労働者も多いですしにぎやかな感じです。コロナ前はオーストラリアなどからのインバウンドの方も多く英語が飛び交っていましたし、野沢に住んでいる外国の方もいます。

写真:野沢温泉村役場提供(グリーンシーズンのスキー場)

夏は、標高が高いので涼しいです。最近はスキー場の夏利用でマウンテンバイクに力を入れているので、自転車をやっている方が多いです。林道がしっかり上まで行けるのでロードバイクで走っている方もいますし、トレイルランニングとか、キャンプに来られたりする方が多いかなという印象です。

写真:塚越さん提供(夏のゲレンデ/スタカ湖キャンプ場で過ごす息子さん)

子育て環境はいかがですか?

奥さま 幼保連携型の子ども園や小学校低学年の間は、すごくいいと思います。地域が密なのでいろんな方が顔を覚えてくれて、声をかけていただけます。村全体で子どもを育てている雰囲気がすごくあるし、何かあればちゃんと注意もしてくださいます。外湯でも村のおじいちゃんたちが「ちゃんと体洗えよ」とか面倒を見てくださったり。

イベントやお祭りなどもいろいろあり、子どもを遊ばす場所もあります。
夏、暑ければスキー場のゴンドラで「上ノ平」まで上がれば、下は30度でも上は25度くらいで涼しいですし、そこでマルシェやイベントをやっていて子どもたち同士でおもいっきり遊べるので、子連れでも過ごしやすく楽しいです。

写真:塚越さん提供(スキー場のゴンドラ/マルシェにて、息子さんたち)

さいごに、家探しをする際のアドバイスなどはありますか?

奥さま 村内は広いので、温泉やスキー場近辺の豊郷・前坂地区と、他の地区とではだいぶ雰囲気も違います。野沢に住むなら何をしたいのかを考え地区を選ぶのが良いと思います。田舎暮らしでのんびりしたいのなら、中心部から離れた市川地区とかは広いので静かにゆったり過ごせるだろうし。

物件は不動産店がないので村の人のつてをたよって探すか、村の空き家バンクで探すかですね。中心部以外では、たまに賃貸や売買用の空き家バンク物件が出たりします。
http://www.vill.nozawaonsen.nagano.jp/living/W003H0000016.html

私たちもいろんな方に聞いて探している途中です。
わが家の場合は平日、子どもたちがスキークラブのナイター練習があるので、スキー場の近くに住んでいないとなかなか部活を続けるのが難しいということもあり、豊郷地区で探しています。

そして大切なのは、冬を必ず体験することですね。やっぱり独特の雪、豪雪地なので「こんなはずじゃなかった」と思う人もいると思います。

大変なこともありますけど、温泉があるから雪かきもスキーも筋肉痛にならずにできていますし、野沢の人はとても温かいので暮らしはとても楽しいですよ。

写真:塚越さん提供(美しい雪景色。野沢温泉スキー場にて)


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