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佐久穂町移住体験談 岩崎様

update : 2020.07.17

写真:佐久穂町役場提供(佐久穂町の風景)

佐久穂町は長野県東部に位置し、西は北八ヶ岳や八千穂高原、東は茂来山や古谷渓谷、そして町の中心を南北に千曲川が流れる自然豊かな町です。佐久穂町は町の中心部からおおよそ10キロ圏内に全ての居住地が収まるコンパクトな町です。町の中心を南北に走る国道141号線沿いに大きなスーパーやコンビニが並び、車で10分以内で日用品が揃います。また、2019年4月に日本で初めてのイエナプランスクール認定校として、大日向小学校が開校し注目を集めています。

今回は、その大日向小学校にお子さんが通われている岩崎さん(下写真)にお話を伺いました。

初めに、移住された経緯からお伺いできますか?

岩崎さん 2019年の3月にそれまで東京で勤めていた会社を辞め、4月から佐久穂町に移住しました。佐久穂町に新しく開校した私立の大日向小学校に娘を通わせるためです。子ども一人一人の可能性を伸ばして、将来自立して生きていく、ということにつながるような小学校を探していました。娘は自然や動物の絵を描くのが好きで、周りにそういった自然が多いことも気に入ったようです。

その大日向小学校の開校の1年前に「春のがっこう」という体験学校に娘と妻と参加して、娘に聞いたら「大日向小学校に行きたい」と。娘には好きなことをやらせたいなと思い、当時、私は大阪に単身赴任していて娘と妻は東京にいたんですが、妻は車の免許がないこともあり、会社も20年務めたし思い切って長野に行っちゃおうかなと。今は私と娘が佐久穂町で、妻は基本的に東京です。妻が佐久穂町に来た時は一週間滞在したり、週末の金曜日の夜に私と娘が東京に行って、日曜日の夜に佐久穂町に帰って来たり、そういう生活ですね。長野県は東京から近いので、道路がすいていたら2時間半で来られるというアクセスの良さもプラスです。関越自動車道で藤岡から上信越自動車道で長野へ入って、佐久小諸JCTから佐久穂ICまで中部横断自動車道が延伸したので、ずっと高速で来られます。また、内山峠を超えて下仁田ICまで行けるので、最近はそこから高速を使うこともあります。

地図:佐久穂町観光協会提供

大日向小学校の体験学校はいかがでしたか?

岩崎さん 「春のがっこう」の体験授業では、子どもたちが庭に生えている草や花の観察をしたり摘んだりして、気がついたことを発表するという内容でした。参加した子どもが約20人くらいいて一人一人発表していくんですけど、他のお子さんは「根が何センチありました」、「葉っぱが何枚ありました」というような発表だったんですが、娘はいきなり「クイズです。この黄色い花をすり潰して汁をつくると何色になるでしょうか?1黄色、2青、3赤」と話しだして。参加した保護者たちは「1の黄色」という答えが多かったんですが、「正解は2の青でした」と娘が言って。その黄色い花は、すり潰すと汁は青色になるみたいで「おおー!」という歓声があがって。娘は植物を観察したり、普段そうやって遊んでいたから知っていたみたいです。その時に私は、娘の感性に感心というか驚かされました。

大日向小学校に一年通われていかがですか?

岩崎さん 学校側のペースではなくお子さん一人一人に合わせて、成長のペースを見てくれる。それと保護者の方、みんなで子育てをする感じです。みんなで子育てという部分では、私も学童クラブを通してできるようになったので、それが楽しいです。それと公立の学校だと宿題とかの時間が多かったんですけど、ここはそういう時間を娘の好きな絵を描く時間に充てることができます。いろんな細かいところを気にしながら精密に、この動物は実は眉毛があるんだとか、耳の中に毛があるとか、この動物はあごが長いから描く時も長くするとか、観察力が鋭くなりました。そういうことも大日向小で絵を描きながら成長してきたと思います。それをきっかけに、また他のことも成長していければ良いなと思います。画家になるとかではなくて、好きなことを見つけていることが父親的にうれしいですね。

(大日向小学校)

学童クラブもやられているということですが

岩崎さん 開校前の入学予定者の集まりがあった時に、働く予定のお母さんとかもいて、放課後に子どもたちがどう過ごすのか決まっていませんでした。佐久穂町には公立の学童もあるんですけど、主に公立の小学校の子たちがいっぱいいて。新たな環境でスタートして、学童も違う環境に行ったら難しいんじゃないかという話で。みんな困ったねとなり、じゃあ私がやりましょうかと提案して、私の個人事業として今は大日向小で放課後に学童クラブ(こどもの居場所とあそびのサポート ひなたぼっこ。通称「ひなたぼっこ」)をやっています。他にも8人くらい協力してくれる保護者の方がいて、普段は児童15人から30人くらいみています。

「ひなたぼっこ」での岩崎さんと娘さん

一年間、学童クラブをやられてみていかがですか?

岩崎さん 面白いですね。子どもたちがこの大日向の大自然の中で楽しめるようにやってきたので、今「ひなたぼっこ」に来る子たちはすごく、楽しんでいると思います。「ひなたぼっこ」では地域の大工さんがプロの大工教室を開き、プロの道具を使って作り方を教えてくれたり、地元の音楽家の方がピアノ教室を学校の音楽室でやってくれたり。手伝ってくれる保護者の皆さんはサポーターと呼んでいるんですけど、その中の一人が英語の翻訳家の方で英語を教えてくれたり。他に、保護者の一人がサッカー教室をやってくれたり、最近はバレエ教室も。私が一番力を入れているのは、「プレイパーク」です。大日向の奥の方に耕作放棄地があって、地元の方にお借りしているんですけど、沢や炭小屋があって。そこで廃材のロープをつなげて遊び場にしたり、木に引っ掛けて桶でブランコにしたり、ワイヤーとロープでターザンロープを作ったりして、子どもたちが遊んでいます。

写真:岩崎さん提供(上、ロープ渡り 下、桶ブランコ)

楽しそうですね

岩崎さん 都会に比べ不便なこともありますが、その不便さが子どもの教育にはすごく良いなと思います。

また、おじいちゃん、おばあちゃんたちの生きるスキルがすごく教育に良いなと思います。おじいちゃんおばあちゃんたちは食べられる野草などにも詳しく、庭に「こごみ」とかが生えていて、最初は食べられるなんて知らなかったんですが「これ、みそ汁に入れたらおいしいよ」と教えてもらったり。ですので、おじいちゃんおばあちゃんたちの知識を、子どもたちが一緒に過ごして、自然と学べるように、地域におりて遊びながら交流し始めています。

大日向は田畑を広げて開拓していった歴史があるんですが、畑の管理をみんなでやる、みんなで生きていくという昔から続く生活があります。そんな大日向に魅力を感じ、佐久穂町の中でも大日向に来て良かったなと思います。

また、佐久穂町は誰かと知り合うと私の知り合いとほぼ繋がっているということも、おもしろいですね。

写真:佐久穂町役場提供(佐久穂町の風景)

お仕事はどうされましたか?

岩崎さん 佐久穂町は製造業や農業、林業、建設業の仕事が多いです。都市部で自分の能力を生かしてやっていたような仕事というよりは、町のニーズに合った仕事ができる人が向いているかもしれません。

地域おこし協力隊、佐久穂町産業振興課が主体となり、町の主な企業を集めた合同就職説明会も年に一度開催しています。移住前は就職希望者として参加、昨年は同じ町の事業者として企業の方々とお話しする機会を得るために参加しました。

また、大日向小学校の保護者のケースですと、お父さんが東京など都市部で仕事を続けて、お母さんと子どもがこっちに来るケースが多いです。あとはITというかオンラインで仕事ができる人は生活できると思います。

今はなんとかやっていますが、最初は大変でした。それまでITの会社に務めていたんですが、移住後に企業などのIT化を支援するための個人事務所をつくりました。移住前は農家さんのIT化などの仕事を見込んでいたんですが。最初は業務が分からないと判断ができないので、IT化ありきじゃなくて、「実際にやらせてください」ということで農家さんのアルバイトから始めました。トマトやプルーンの栽培から草刈りなどのお手伝いをしました。農家さんもプロですから作業が確立されているんですが、素人目線で農家さんが気付かない部分の効率化を一緒に考えるということで、現場に入りました。

一年間やられてみていかがですか?

岩崎さん この町は大企業がなく中小企業が多いです。中小企業はITをがっつり入れる程必要としていなくて。でも未だにアナログな部分も多いです。部分的にポイントを押さえたIT活用なら、費用を抑えて効果が期待できるので、この町の企業に合いそうかな、ということが分かりました。

業務内容から、どうITを活用すれば業務が改善できるか、過重な仕事を減らして本業に集中できる環境を作れるか、ということを人手不足の影響を最小限にするためにもやっていきたいと思っています。今はIT化に意欲のある社長さんと出会い、現場の方の勤怠システムとか、社内コミュニケーションツールの活用を中心にIT化を支援しています。また、別の会社ではウェブサイトのアクセス解析なんかも任されています。

佐久穂町は潜在的な未知の可能性もあり、やり方次第で実はいろんな仕事の可能性があると思います。都会の仕事と比べると家族を潤沢に養うのは厳しいのかもしれませんが、私のように副業ありきで考え、いろんな仕事をしながらやっていくのも一つのやり方だと思います。例えば、朝と昼で別の仕事をする。季節に応じた仕事をする。休日は趣味を生かした仕事をするなど。自分のライフスタイルを中心に働くことができる可能性もありますね。

住居はどのように探されましたか?

岩崎さん 学校に歩いていける範囲で探し、時間はかかりましたが空き家バンクで見つけました。ただ、空き家バンクの物件数は少ないかもしれません。そして古いのでリフォームが必要かもしれません。リフォームなどの空き家バンク補助金もありますが上限は50万円です。

不動産店のサイトで探す方法もありますが(タイミングにもよりますが)物件数は多くないと思います。

大日向小のケースだと隣の佐久市に住んでいる家族が多いです。学校がスクールバスを出しているので、佐久市の野沢とか佐久平に住んでバスで学校に来る。町営住宅は台風19号で被害に遭ったこともあり、被害にあわれた方々が仮住まいしているので空室は無い状況です(2020年7月現在 数室の空きが出てきている)。大日向地区は物件も少ないので、とにかく地元の人の情報を掴むしかないです。地域おこし協力隊など町に詳しい人と知り合って空き家の情報を得て、自分で大家さんと交渉する方法もあります。誰かに頼ると佐久穂町では、誰かしらに繋がっていたりするので。

佐久穂町空き家バンク
https://www.town.sakuho.nagano.jp/iju/live/akiya/index.html

最後に移住についてアドバイスをお願いします

岩崎さん こちらは都心のモノの探し方と全然違うと思います。都心だと不動産店、就職ならハローワークとか就職情報誌。こっちは直接気になる企業に聞くとか誰かに聞くと何か情報が出てきたり、その人が誰かを紹介してくれる。家とか仕事を探すのに、すぐの移住は厳しいかもしれませんが、準備期間を設けて計画的に、協力者を増やしていけば道は開けると思います。

写真:佐久穂町役場提供(佐久穂町の風景)


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