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小諸市移住体験談 石井様御夫妻と黒柴のサスケ君

update : 2018.06.26

写真:小諸市役所提供

小諸市は長野県の東部に位置し北に浅間山、南西部に千曲川が流れる自然豊かなまちです。市内の標高は600m〜2000mと高地に位置しているため、冬の寒さは厳しく、早朝はマイナス10℃を下回る日もあります。一方で、夏は湿気が少なく過ごしやすい日が多いです。国内でも屈指の晴天率を誇ります。長野県は雪国というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、県内では雪の降る日、降る量ともに少ない地域です。

その中でも土壌が粘土質で味が濃く質の良い農産物が育つ、御牧ケ原(標高800m)で農業を営む、東京から移住された石井賢さん、恭子さん御夫妻にお話を伺いました。

写真:石井様提供(石井さん夫妻が栽培するお米の田園風景)

はじめに、移住された経緯をお伺いできますか?

ご主人 平成24年に長野に来たので、今年で移住して7年目になります。もともと色んな場所に旅するのが好きで、長野は良く旅行などで来ていました。特に東信地区は上信越自動車道が出来てからは東京からも近く、長野オリンピックもカーリングを見に軽井沢までは来ていました。20代後半〜30代の頃は、移住するならこんな所が良いなと、おぼろげに思っていました。

そして、何かのきっかけで移住してみたいと思ったんですが、移住するにあたり仕事をどうするか考えました。そうしているうちに、おぼろげにですが、農業をやってみたいと思うようになりました。

実際に都内の農業フェアに行ってリサーチをしたり、赤坂にある長野県の出先機関に行って相談してみたりしているうちに、小諸市の長野県農業大学で研修制度があることを知りました。そして、長野県内への移住希望者を対象にする「農ある暮らし入門研修」という一泊二日の体験型研修を受けました。その後、平成24年の4月に「新規就農里親前基礎研修」で農大の研修生になり、この御牧ケ原の農大の宿舎に二人で住み始めました。

奥様 私も仕事が忙しかったんですが、けっこうやりきった感があったので別のことをやっても良いかなと思ったのと、あと黒柴(柴犬)と暮らしたかったというのもあり(東京のマンション暮らしだとなかなか厳しいので)気軽な感じで長野に来ることをOKしました。

主人の農業が軌道に乗ってから来た方が良いのかなとも思いましたが、同時に始めた方が温度差が出ないんじゃないかと思い一緒に来ました。

写真:石井さん夫妻と黒柴のサスケ君

農大での生活はいかがでしたか?

ご主人 研修生でしたので年齢もキャリアも全く違う人たちが僕らの代はそろっていて、和気あいあいと、久しぶりに楽しい時間を過ごせました。地方から色々集まって来た人たちと座学を受け実習をして同じ宿舎に住み込みで研修するので、同じ釜の飯を食べた仲間みたいな感じです。

奥様 普通に暮らしていたら接点が無いだろうなという方達とも接点が持て、今でも交流があるのでその点では良かったです。

写真:農大の研修生用に自由に何でも栽培できる畑。晴れていれば奥に浅間山が見える

ご主人 先生も親身になって色々相談に乗ってくれますし、本当に右も左も分からない人の入門編として、研修制度を利用するのはとても良いことだと思います。例えば経験とか勘、以外にも肥料とかをちゃんと計算するベースになるものを学べたり、農業機械の操作をはじめ安全管理も教えていただき、座学で幅広く学べたのでそれはすごい今も役立っています。

奥様 農業の色々な方向性を見ることが出来たことも良かったです。地元の農家さんや新規就農でやられて形になっている農家さん、法人でやっている農家さんをそれぞれ見学させていただいたり、研修の中で自分なりに方向性を考える余裕があるのでお勧めです。

今はどんな農作物をお作りですか?

ご主人 お米とスナップエンドウ、じゃがいも、ズッキーニ、施設でのミニトマトを複合でやっています。

色々と御縁があって農業の関係の方に今住んでいるこの家を紹介してもらったんですが、家の前に3反(30アール)の田んぼがついていたので、まずはお米から始めました。

写真:石井様提供(水田のはぜ掛け風景)

奥様 トマトは美味しいし最初からやろうとしていました。それと、新人だと農地を集めるのも大変ですが、狭い面積でもそれなりに収量も上がって収益になるというところで、初心者には向いている作物として、先生からのお勧めもありました。

じゃがいもは、白土馬鈴薯(はくどばれいしょ)と言ってこの辺の御牧ケ原が産地で、地元で支持されているので作ろうと思いました。

また、長野県は冬場も長く春先も少し寒いので関東に比べ農作物がしぼられる、ここに適した作物を考えたらスナップエンドウとか、品目が増えていきました。

 

写真:石井様提供(石井さん夫妻が栽培するミニトマト)

農業関係の補助金は利用されましたか?

ご主人 小諸市の新規就農者就農準備支援金を受けました。貯金0で来たら出来ないと思います。各自治体で色々補助はあるので調べてみると良いと思います。

奥様 農業で必要な物を購入した時などに支給していただけました。何も無いところから会社を起こすのと一緒で、設備投資というか先行投資がかなり掛かるのでとても助かりました。

農業を考えている方にアドバイスは?

ご主人 農家になる方法はいくつかあるので、最初は入門編で体験してみるのが良いと思います。それぞれ向き不向き、得手不得手があるので、インターネットで調べて自分で体験するのが大切だと思います。ぼくらも初めから絶対に農家になるんだという意識ではなかったので、いまだに信じられないと言う友達も多いです。

奥様 やっていくなかで色々なことに直面するので臨機応変に修正していかなきゃいけないこともあり、フレキシブルに自分の考えを変えることも必要です。

ご主人 ただ、ポイントは仕事として商売になるかどうか。会社員だといいが自営は大変です。

奥様 昔、アパレル業界の会社員だった頃は、人にモノを作ってもらってましたけど、今度は自分たちで作らなきゃいけない。全部自分たちの責任です。

経費も会社だったら、これ回しといてってなるが、今は全部自腹がいたむ。そういうのが会社員時代と違う一番の変化です。

地域に馴染んでいくには?

ご主人 僕らは移住するにあたり農業が入り口でした。そこを通じて農家の方と交流していくうちに「うちの畑をやってくれ」とか、「田んぼをやってくれ」とかお声をかけていただきました。農業は大変だけど農業に助けられた部分も多いです。

奥様 あとは犬と暮らしたのも大きいですね。犬を連れて散歩をしていると近所の人と世間話をして顔見知りになったり、サスケに助けられている部分もあります。
東京で人付き合いが嫌でエスケープな気持ちで田舎に来るとつらいかもしれないですね。
こちらでは村の仕事とかもあるので、そういう時に皆さんと仲良くさせていただいたりして何となく私たちも村の人になってきたかなと思います。

リフォーム等はいかがでしたか?

ご主人 壁を白く塗ったのは奥さんです。

奥様 台所の劣化がひどく、大家さんからも何しても良いと言われたので壁を塗るのとキッチンの床タイルを貼るのは自分達で行いました。

写真:リフォームされたキッチン

ご主人 都会にいると何か直すとなると大工さんや業者さんを呼んだりしますけど、こちらの人は何でも自分達で直したりします。古い家なので故障もあり、その度に自分達で直します。別荘に遊びに来るのとは違い生活をするとなると、自分達で何でもやらなきゃいけないので、意外に急がしいです。

最近不便だったのは、長野は台風があまり来ないんですが、去年はハウスに台風が直撃して3棟飛びました。さらに3日間自宅も停電して自宅がランプの宿になりました(笑)。

暮らしの中で不便な事はありますか?

ご主人 やっぱり冬の寒さは都会とは違いますね。ですので灯油代がかさむというのはあります。買い物はインターネットやwifi環境さえ整っていれば、ネットで足りるので欲しい物が分かっていればあまり不便はないです。

奥様 以前は外に飲みにも行っていましたが、今は代行タクシーの料金が飲み代より高くなるのでみんなで集まって我が家で飲むようになりました。

最後に、今後の目標はありますか?

奥様 農家になり今年で5年目なのでなんとなく形にはなってきましたが、投資したものに対し回収が難しいので、経営としてちゃんと成り立つようにやっていきたいというのはあります。

ご主人 ですが、二人なのであんまり大規模にはできないので、やれる範囲でめいっぱいやる、がんばれるだけがんばる、どこまでがんばれるか見極めるのも大切だと思います。

写真:石井さん夫妻が販売するお米 www.gambariyasai.com

長野県農業大学校 研修部

就農を始める前にいくつかの研修が受けられます。

就農体験研修

農作業体験、就農相談、新規就農事例の視察を通じて農業を理解するための研修です。6月〜翌年1月まで一泊二日の計6回、定員は各回15名。1回(一泊二日)4,700円(受講料及び実習教材費、宿泊費、食事代、保険料、雑費は12月と1月は暖房費100円がプラスになります)

新規就農里親前基礎研修

信州で就農したいI&Uターンの概ね45歳までの社会人を対象に研修期間は4月〜翌年3月の1年間(宿舎あり)。栽培から販売までの実習を中心とした農業の基礎的技術を習得する研修です。2年目は自分の選んだ里親のもとで1年間研修を行います。

農ある暮らし入門研修

県内への移住希望者・移住者、定年退職者等を対象に一泊二日で農業に親しんでもらう体験型研修です。4月〜11月まで毎月1回の計8回、定員は各回25名。1回(一泊二日)5,700円(受講料及び実習教材費、宿泊費、食事代、保険料、雑費は12月と1月は暖房費100円がプラスになります)

これらの他にも研修があり詳しくは
長野県小諸市山浦4857-1 電話0267-22-0214
http://www.pref.nagano.lg.jp/nogyodai/kenshubu/


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