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佐久市移住体験談 園田様
update : 2025.09.24

(千曲川が流れる佐久市臼田地区の空撮。奥に見えるのは浅間山)

写真、地図:佐久市役所提供
長野県佐久市の人口は97,253人(2025年8月1日現在)、面積は約423.51平方キロメートル。東京から北陸新幹線で約70分という好アクセスと、全国トップクラスの晴天率に恵まれた高原都市です。
夏はからっと爽やかで、冬は雪が少なく、県内の他地域に比べて降雪も少ない傾向があります。
こうした暮らしやすさが評価され、2024年、佐久市は、転入者が転出者を上回った人数を示す「社会増加数」が503人に達し、県内トップを記録。移住先としての関心が高まっています。
生活インフラや医療体制も充実しており、県内上位の広さを誇る大型ショッピングモールや、地元で人気のスーパー、2つの総合病院が日常生活をしっかり支えています。
また近年では、子どもの学びに新しい選択肢を求めて佐久市に移住する家族も増加中。通学可能な範囲に特徴ある教育方針の私立小学校が複数あり、教育移住の目的地としても注目されています。
さらに、移住支援制度も充実しており、移住検討者滞在費補助金や新幹線通勤費助成、住まい探しサポートなどが用意されています。
今回は、コロナ禍を経て佐久市に移住された園田さんに、お話をうかがいました。

(ホシノマチ団地で開かれたハロウィンパーティーに参加された園田さま(右奥))
はじめに、移住を考えたきっかけをお伺いできますか?
園田さん 夫は都内勤務だったんですが、コロナ禍でしばらくリモートワークになりました。コロナが落ち着いた後も、そのまま在宅勤務で大丈夫になったんです。
それまでは「通勤しやすい場所」にこだわって家を選んでいたんですが、在宅になったことで「住む場所はどこでもいいよね」という話になり、移住を考えるきっかけになりました。
移住されるにあたって、どのように準備を進めましたか?
園田さん まず「どこに住むか」を夫婦で話し合いました。夫は転職するわけではなく、たまに都内に出社する必要があるので、“通勤圏内”という条件がありました。
その中で候補にあがったのが、神奈川、静岡、長野です。私たちはスノーボードやキャンプが好きなので「自然の近くで暮らしたいよね」と。そこで長野に絞って探しはじめました。
佐久市は東京まで新幹線で1時間ほど。以前住んでいた埼玉から会社までの通勤時間とあまり変わらないうえに、新幹線なら混雑もなく快適。月に1〜2回の出社なら「これなら十分許容範囲だね」となって、佐久が有力候補になりました。

写真:佐久市役所提供(新幹線の佐久平駅)
住まい探しは、どのように進められましたか?
園田さん 家探しを始めたのは、息子が年長のときでした。佐久市を中心に、小諸市や御代田町も検討していて、子どもの小学校選びも大きなポイントでした。
当初は、隣町の佐久穂町にある大日向小学校(おおひなたしょうがっこう)にも関心があり、説明会に行こうかと考えたこともあります。
でも、自宅の売却が先に必要だったこともあって、最終的には公立の小学校に絞りました。
以前の小学校はマンモス校で、1学年7クラスもありました。佐久では、もう少し規模の小さな学校を希望していましたし、雪の多い地域ということもあって、住まいの断熱性なども気にしました。
夫が在宅勤務なので、防音性も大事な条件でした。最初は戸建てや古民家などを中心に探していましたが、引っ越し時期が6月で物件数も少なく、不動産会社にも相談しながら探していたんです。
そんな中、以前問い合わせていた「ホシノマチ団地」さんに再連絡したら、ちょうど空きがあり、2泊3日で見学して、最終的にそこに決めました。
ホシノマチ団地は、市営住宅を活用した物件で、私たちが住んでいるのは“移住者専用棟”です。周りの住人も同じように移住してきた方が多く、困ったときに相談できる安心感があります。
また、建物も鉄筋コンクリート造で、夫の在宅会議の音も気になりません。生活環境として、とても合っていると感じています。

写真:佐久市役所提供(ホシノマチ団地)
佐久市の戸建て賃貸の相場感としてはいかがでしたか?
園田さん その当時で3LDKなら10万~15万円くらいの物件が多かったです。都内に比べればもちろん安いですが、「そこまで安いわけではないな」という印象でした。
古民家もいいなと思って探していたんですけど、冬の寒さや断熱性がちょっと心配だったので、慣れてから考えようと思って見送りました。
実際に物件が見つかるまでの期間は?
園田さん 物件探し自体は1年以上前から続けていました。
ただ本格的に動いたのは、自宅の売却が決まりそうだという見通しが立ってからで、そこからは1カ月ほどで今の住まいに決めました。
子どもの小学校の入学時期にも合わせたかったので、夏休みに引っ越すことを目標にして、タイミングを見ながら準備していました。
不動産会社には「こういう物件が出たら連絡ください」とお願いして、日常的に相場や動きをチェックしていた感じです。
移住を検討していたなかで、大日向小学校の合格発表のあとに物件が一気に減るとか、3月に近づくとさらにガクッと減る、というような動きも感じていて、そういう季節要因も意識しながら探していました。
実際に引っ越したのは2024年の8月中旬。息子が2学期から新しい小学校に通えるよう、夏休み中に合わせて動きました。今ちょうど1年くらいになります。
生活面についてはどうでしょう?
園田さん 買い物に関しては、そんなに不便さを感じることはないですね。
今、住んでいるエリアの近くには地元のスーパー「ツルヤ」があるので、普段の買い物はだいたいそこを利用しています。
それと、家族の予定などで佐久平駅の方に出かけることが多いので、そのときには駅の近くにある「イオンモール」や「Aコープ」など、少し大きめのスーパーで買い物を済ませることもあります。
用事の合間に立ち寄るような形ですね。
また、ドラッグストアも複数あって便利ですし、佐久平駅周辺は商業施設が集まっていて、チェーン店や大型店も充実しています。
たとえば「ツタヤ」「GU」「ユニクロ」など、都市部でもよく見かけるお店がそろっていて、日常の買い物には困らない印象です。
なので、「田舎だから何もない」といったような不便さは特に感じていません。

写真:佐久市役所提供(佐久平駅付近)
交通面はいかがですか?
園田さん 基本的に車ですね。むしろ、移住してからは自転車をあまり使わなくなったという印象です。やっぱりどこへ行くにも車移動が基本になっています。
佐久市内には、高速道路の出入口がいくつかあります。
上信越自動車道では、佐久ICと佐久平スマートIC(ETC専用)の2カ所、中部横断自動車道では、佐久北IC、佐久中佐都IC、佐久南IC、佐久臼田ICの計4カ所が整備されています(※いずれも2025年8月現在)。
たとえば以前、福岡で結婚式があった時には、上信越自動車道から長野自動車道を経由して松本空港を利用しました。松本から博多まで直行便が出ていたので、羽田空港まで出なくても済んだのは助かりましたね。
また、よく使うのが中部横断自動車道の佐久北ICから八千穂高原IC(佐久穂町)までの区間です。
この区間は、「無料区間(高規格幹線道路)」として供用されていて、通行料金はかかりません。
しかもこのあたりはそもそも渋滞もほとんどないので、帰り道に無料の高速を使ってスムーズに帰ってこられるというのはとてもありがたいです。

高速道路地図:佐久市役所提供
気候について、夏は暑いですか?
園田さん 都内のようなジメジメした蒸し暑さはなく、カラッと爽やかです。標高が高いので日差しは強いですが、汗をかいてもベタベタせず、過ごしやすいですね。ただ、暑い日はやっぱりエアコンがあると快適です。

写真:佐久市役所提供(バルーンフェスティバル)

(静岡県富士見宮市麓にある「ふもとっぱらキャンプ場にて」
一方、冬はどうでしたか?
園田さん 冬はやっぱり寒いです(笑)。でも、私たちは雪が降るのを楽しみにしていたので、初めての冬は「これも含めて移住の体験だな」と思いながら過ごしました。景色が変わるのも新鮮で、意外と楽しめました。ちょうどその頃、内窓の補助金制度が利用できる時期だったので、リビングや仕事部屋に内窓を入れて、断熱工事もしてもらったんです。
引っ越してから気づいたのですが、エアコンも寒冷地仕様のものじゃないと凍結してしまうことがあるんですよね。夏に引っ越したので盲点だったのですが、寒冷地仕様のエアコンは必須でした。

(ピラタス蓼科スノーリゾートにて)
改修は賃貸でもできたのですか?
園田さん はい、今住んでいる「ホシノマチ団地」はDIYが可能で、しかも原状回復の必要がないんです。「やったままでいいですよ」っていうスタンスなので、フロアタイルを自分で貼ったり、内窓を設置したりと、かなり自由に暮らしています。管理の方もすごく柔軟で、「何かあったら相談してくださいね」みたいな、いい意味で“ゆるっと”した雰囲気です。
佐久市は『快適健康都市』を目指していますが、医療環境についてはいかがですか?
園田さん そうですね、医療面は安心できる印象です。実際にはまだ総合病院にかかる機会は少ないんですが、病院や薬局は全体的に多くて、「田舎だから病院もスーパーも遠い」みたいな不便さは全然感じていません。
お子さんは転校されて、いかがですか?
園田さん 今の学校は1学年に3~4クラスあって、ちょうどよい規模感ですね。新しく統合された学校なので、校舎もきれいで教育環境も整っている印象です。
たとえば2024年は初めてのマラソン大会があって、各自がゴール地点を選んで走るという形式だったんです。自分で目標を決め、決めたところまではやり切る。そういった子どもの主体性を尊重する取り組みもあって、公立ながら柔軟な教育が行われているなと感じます。
登下校も徒歩で安心ですし、地域の「見守り隊」の方々がポイントごとに立ってくださっているので、常に人の目があるのもありがたいですね。転校生も少なくないため、子どももすぐになじんで楽しく通えています。
移住後、お仕事の面ではいかがですか?
園田さん 飲食店や観光地のパート求人も多く、こだわりがなければ、移住者も増えている地域ですし、仕事はそれなりに見つかると思います。
最後に、移住を考えている方へのアドバイスをお願いします
園田さん 移住って大きな決断に感じるかもしれませんが「こんな暮らしをしてみたいな」と具体的に想像することって、大切かなと思います。私たちも最初は情報を集めるだけだったんですが、実際に現地に行ってみると、「ここでの暮らし」が少しずつ現実味を帯びてきて、ワクワクしました。
私たちはスノーボードやキャンプなど、自然の中で過ごす時間を楽しみたいなと思って長野を選びました。以前は自然のある場所まで時間をかけて行っていたのですが、今は「雪がいいから行こう」と思えば車で30分でゲレンデに着けるんです。これが本当に魅力ですね。
もちろん、家族の生活環境が変わることを考えると悩むこともあると思います。でも、まずは「今どんな暮らしをしたいか」に意識を向けてみるのも大事かなと感じています。
移住後に住宅を購入する人もいれば、賃貸のままの人もいます。私たちは子どもの進学のことがまだはっきりしていないので、しばらくは賃貸で動きやすくしておこうと思っています。
家族にとって大切にしたい暮らし方を話し合って、それを実現するには何が必要かを知っておくと、移住ってぐっと身近に感じられるようになるんじゃないかなと思います。少しでも参考になればうれしいです。
■写真3枚:園田さま提供