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木島平村へ移住をお考えの方へ移住先市町村の話題

update : 2025.02.20

(大塚沖上空からみる木島平村。奥に見えるのは高社山)

人口4375人(2020年10月1日国勢調査より)の木島平村は、長野県の北端、長野市から北東へ約40kmの位置にあります。北陸新幹線飯山駅からはバスで15分、上信越自動車道•豊田飯山ICからは車で15分と東京方面からのアクセスも良好です。
豪雪に由来する清らかな水と肥沃な大地など環境に恵まれた美しい風景が広がる農村地域で、高い評価を受ける米をはじめアスパラガスやズッキーニなど、県内有数の産地です。
日本有数のスノーリゾートや温泉地に囲まれ、季節を問わず訪れる人は後を絶ちません。

移住者も毎年、増加傾向で、村の移住定住支援には、移住相談会、空き家バンク制度、子育て支援、田舎暮らし体験住宅、各種補助金などがあります。

今回は木島平村産業企画室•移住定住推進係長の小林さんにお話を伺いました。

(木島平村産業企画室 移住定住推進係長の小林さん)

はじめに、近年の移住者の傾向をお伺いできますか?

木島平村 産業企画室 移住定住推進係長•小林さん 「移住者数」として公表される数字は、村の事業(移住相談、移住体験住宅利用、空き家バンク利用、地域おこし協力隊など)に関連した方としておりますが、近年は年間15世帯前後で20人から30人で推移しています。空き家バンク物件の流通量の増加にともない移住される方が増えています。

以前は、定年退職をされた方の移住が多い傾向でしたが、近年は20代の単身やカップル、子育て世帯など、多様な世代、家族構成の方が増えています。

移住において大きな課題の一つである「仕事」についても、若い世代の方は特に、未経験の新規就農やリモートワークなど新しい働き方をされています。

「新幹線駅に日本で2番目に近い村」であり、高速道路のインターチェンジも近いため、東京や神奈川など首都圏や大阪からの移住に加えて、県内他所に移住された方が「二段階移住」をされる事例もあります。

(残雪の高社山と桜)

外国の方の移住も増えているそうですが、要因はいかがですか?

小林さん 移住者数としてカウントする方法は先に述べたとおりですが、転入者数や二地域居住など、全体をみると外国人の方が確かに増えてきております。

令和5年度の都道府県別の木島平村への転入者数を見ると、約6割は長野県内からの方ですが、次に多いのが外国人となっており、約1割いらっしゃいます。就労のために転入され、数年のうちに研修期間を終えて転出される方もいらっしゃいます。

お隣の野沢温泉村や北アルプスエリアの白馬村に外国人客が多いという話をよく聞きますが、観光にとどまらず、冬にスノースポーツを思う存分楽しめて日本的な情緒が残る長野県で、一定期間滞在して生活したいという外国人の方が増えてきています。

新幹線を利用すれば東京から約2時間という交通アクセスの良さやアクティビティー環境に恵まれている点が大きいと思います。村内にスキー場は2カ所、車で50分圏内には10カ所以上ある立地で、温泉もあり、主に農業が基幹産業という農村地域であり、自然環境が好きで地元の方とも交流をして地域貢献をしたいと素朴な暮らしを求める外国人の方が多い傾向です。

(スノーリゾート ロマンスの神様(旧木島平スキー場)山頂から飯山盆地・木島平を望む)

移住者にとって木島平村の魅力はどのようなところですか?

小林さん 先に述べたように、インバウンドの余波を受けていることもありますが、長野県の多くの市町村がそうであるように、四季がはっきりと感じられる、ということが大きな魅力ではないでしょうか。

(馬曲温泉から高社山を望む)

また、村の移住体験住宅利用者へ、滞在後のアンケートを記入していただいていますが木島平村を選んだ理由や良いところを挙げていただくと、最も多いのが「景観」です。

長野県というと、山に囲まれ谷あいに集落があるというイメージを持たれている方が多いようですが、逆に、木島平の場合には、高社山の裾野に広がる雄大な自然があり、好印象をもたれる方が多いです。また、うれしいことに「木島平村に住みたい」と市町村を特定してご相談を受けることも多いです。

(高社山の裾野に広がる木島平村・樽川と馬曲川が縦貫し千曲川に注ぐ)

カヤの平高原も人気がありますよね

小林さん カヤの平高原は、上信越高原国立公園の中心地・志賀高原の北側に広がる標高1,400~1,700mの高原です。自然休養林に指定されており、その面積は1,450haと広大です。
樹齢300年を超えるブナの原生林や高山植物の宝庫であり、生物多様性が保たれています。
またブナ林としては比較的平坦であることが特徴で、なだらかに続く遊歩道と樹相のコントラストがたいへん美しく、癒やしの空間を提供しています。カヤの平高原総合案内所までは車でも通行可能で、ブナの原生林へそこから歩いてすぐ行けるため、トレッキング初心者にも人気です。

(ブナ林に囲まれるカヤの平高原の牧場/カヤの平高原の遊歩道)

また、高原には、「北ドブ湿原」と「南ドブ湿原」があり、ニッコウキスゲなど、さまざまな種類の美しい高山植物を観賞することができます。野鳥や昆虫などの種類も豊富で、生き物の息吹があふれています。

2013年からは、NPOやSDGsに取り組む民間企業、村内のボランティアなどが、使われなくなった牧場地にブナの稚樹(ちじゅ)を植樹する「ブナの森づくり」を進めています。

(カヤの平高原の北ドブ湿原に群生するニッコウキスゲ)

木島平村の気候について教えてください

小林さん 木島平村の冬は、典型的な日本海側気候であり、積雪は例年1mほどあります。2023~2024シーズンは雪が少なめでしたが、その前年の1月から2月は雪が多く、2mを超える積雪がありました。

天気予報をご覧になって、天気図が西高東低で縦じまの気圧配置の時は、関東は晴天、木島平はしんしんと雪が降っているという光景になります。一晩で40~50㎝降ることもあります。

長野県内では、積雪はないものの寒さが厳しいという地域もあり、地元では「雪が降ってからは多少、暖かくなる」と言う方もいます。

(高社山の雪景色 1月)

木島平村は長野県の北部に位置するため、涼しいイメージをお持ちの方が多いと思いますが、千曲川の下流域に位置し、役場付近で標高335mです。飯山盆地の地形が影響して夏場の日中は暑く、移住相談では「意外と暑いですね」とよく言われます。近年の猛暑でほとんどの家がエアコンを設置していますが、ほんの数年前までは扇風機だけで過ごすという家もありました。ただし、朝晩の気温は低く気持ちがいいです。早朝ランニングをされている姿も多く見かけます。

(稲荷地区•稲泉寺には、寺を囲む約5000㎡の蓮田に大賀蓮(おおがはす)を
はじめとする約10万株のハスが植えられている)

実際に移住された方の声はいかがですか?

小林さん 係で対応した方からは、「毎日充実した暮らしをしている」と言われることが多いです。
多くの方は、自然豊かな環境で暮らしたい、子育てしたい、と移住をする前から決めておられるため、むしろ元から住んでいる住民よりもこの地域を楽しんで過ごされている方が多い印象です。

地元にいると気が付かないようなおすすめスポットにも詳しく、逆に村民が教わったり刺激を受けたりすることもあります。

「都市部では“孤”育てを感じていたが、ここでは一切感じない」という子育て世帯からの意見もありました。

村内や近隣地域で多様なつながりを持っている人ほど、移住後の満足度は高い傾向があると感じています。

村内ではどのような特産品が人気ですか?

小林さん 木島平といえば、何といっても一番は「米」ですね。近隣では、新潟県の魚沼産コシヒカリが有名なブランドですが、木島平米は、この魚沼産コシヒカリに引けを取らないおいしさであると評価を受けています。

(大塚沖収穫前のほ場から高社山を望む 9月)

村では、木島平産のお米を提供されている飲食店や宿泊施設に「木島平村の米・食材でもてなす店・宿」という木製の看板をお渡ししています。近隣や長野市では「木島平米」を、お店のウリにしている飲食店が多いです。

日本で最大規模の米の品評会「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」では、例年約5000点の出品数のうち、入賞できるのはわずか40点と非常に狭き門ですが、木島平米は2008年から2021年までの14年間、連続して入賞という、全国的にもまれにみる快挙を達成しています。

また、「村長の太鼓判」というブランド米は、木島平米のうち収穫前の厳しい審査の中で最高の値を示したお米のみで仕上げた商品で、毎年売り切れてしまうほど人気で、ふるさと納税の返礼品としても喜ばれています。

(木島平産コシヒカリ「村長の太鼓判」)

高い生産技術が求められる酒米「金紋錦」は県内外の多くの酒蔵で重宝されています。現在、長野県内では、この金紋錦を使った日本酒が多くの酒蔵で造られています。

野菜では、春はアスパラガス、夏はズッキーニの生産地となっております。近年、秋はネギの栽培が盛んになってきています。もちろん、野沢菜も有名で、村内には多くの漬物店がございます。冬は、キノコ類の生産がピークを迎えます。

(昼夜の寒暖差で甘みとうま味が増すズッキーニ)

地元産そば粉、つなぎにオヤマボクチを使用し、平成の名水100選に選ばれた「龍興寺清水」を使って手打ちした「名水火口(ぼくち)そば」が有名です。新そばの出回る11月初旬から年越しまで、また、ゴールデンウィークやお盆など、「道の駅FARMUS(ファームス)木島平」では、そばを求めて多くのお客さまでにぎわいます。
2025年1月からは、清流で育てられた村内養魚場の「信州サーモン」と、お米は「村長の太鼓判」を使用した丼物と、地元産そば粉を使用した手打ちそばをセットにした新メニューが開発され、人気の品となっています。

(「道の駅FARMUS(ファームス)木島平」/「手打ちそば ミニ信州サーモン丼セット」)

空き家バンクはどのような物件が人気ですか?

小林さん ほとんどの方が「眺望の良い物件」を希望されます。本村では、多少の差はあれど、どの物件も2階に上がれば山々を望む自然環境には恵まれています。

200~300万円の空き家が登録になると、多くお問い合わせが寄せられますが、その価格帯では改修費用が多くかかることをお伝えしています。学校に近い物件を希望される子育て世帯の方も多いです。

移住される方の事情は千差万別であり、それぞれが理想とされる暮らしによって重視する点が異なる状況です。

以前は、元の住まいを週末の農作業や年に数回、家族や親せきで集まる場所として利用される方が多かったですが、年々、所有者が高齢になり管理が難しくなったり、孫や子どもの代に相続したりして状況が変化してきました。

木島平村は豪雪地帯であるため、人が住まなくなった住居は特に損傷が早く、管理に困り手放すケースが目立ちます。村としても空き家の所有者へのアプローチを強化し、地域の宅建業者と協力して空き家の流通を促進しています。

また、空き家になってから長年経過した物件より、年数が浅い物件の方が、空き家バンク登録後に早く成約に結び付きやすいことが傾向としてあります。これは、物件の傷みも少なく、さらなるリフォーム費用をかけずに、すぐ生活を始めることができるからだと思います。

木島平村は、雪に対する苦労を軽減する近代的な造りの家が多くなってきており、瓦葺屋根、中信や南信地域の本棟造りのような建築様式の家は元々ありません。しかし、茅葺き屋根にトタンを被せた古民家風な寄棟造りの家も村内にはまだ何軒かは残っており、立地条件や金額にもよりますが、移住を希望される方からは引き合いは多い傾向です。

空き家バンクに関する補助金はどのようなものがありますか?

小林さん 「空き家活用等補助金」があり、次の3区分によります。

①空き家を売却する所有者に対する「家財搬出・清掃等」経費への補助金
②空き家を取得した方に対する「取得」補助金
③空き家を賃貸に出すため又は購入者がリフォームするための「改修」補助金

このうち、②については子ども加算があり、世帯員にお子さまがいらっしゃれば、1人当たり5万円の加算措置があり、上限が3人分までとなっております。
いずれも、年齢要件等がありますので、詳しくは、係までお問い合わせください。

他に移住者が利用できる補助金などはありますか?

小林さん 木島平村へ移住しただけでもらえるという補助金はありませんが、古くから、若者世帯の定住支援策として家賃に対する補助金があります。

また、村に入られて住民となられる方が、村内に条件にあった住宅を建築した場合、新築・増築別に補助金があり、これには子ども加算もあります。

補助金は使ってしまえば終わりです。それよりも、雪国ならではの人とのつながりを重視し、相談しやすいよう定住支援を行ったり、移住された方と地区や村民をおつなぎしたりするソフトの支援を行っています。

また、令和2年から国で施行された事業で、長野県内でも要綱を制定している市町村が多いと思いますが、東京圏、大阪、愛知から移住し、就業又は創業された方に対する補助金「UIJターン就業・創業移住支援事業」があります。今年度、本村では要綱制定してから初めて、テレワーカーとして対象となられた方がおられました。

近年では起業を考える方が増え、移住者以外でも対象にはなりますが、上限100万円を支給する「創業支援金」も活用事例が増えています。

移住体験住宅のお勧めの利用法を教えてください

小林さん 木島平村の体験住宅は、地区名をとって「庚棟」と「大町棟」の2棟があります。
体験住宅の利用期間中に、移住後の住宅を探したりしながら、隣接市町村を含めた生活圏をよく知っていただきます。

また、滞在中に必ず移住相談を行っていただくとともにその際に、利用者の仕事に関連した村内先輩移住者や興味ある分野の方との接点を設けるなど、移住後にスムーズに地域に入っていけるようにしています。

また、雪や寒さに対して心配される方がほとんどなので、特に積雪のある冬にご利用していただき、実態を体験していただくことが大切と思っております。

(田舎暮らし体験住宅(庚棟))

移住される方はどのような仕事をされていますか?

小林さん 移住される方のお仕事はさまざまです。
コロナ禍を経て仕事が全て在宅となり「わざわざ東京圏に住む必要性を感じなくなった」という方や、「自然が豊かな地方で子育てがしたい」と、テレワーカーとして移住後も同じ企業に勤めながらお仕事を継続されています。

また、都内での働き方に違和感を抱き、「一生できる仕事を」と、農業を選択され、研修を経て、未経験からの新規就農や村内農家への就農をされた方もいます。

農村で多くのお客さまを迎え入れたいという方で、空き家を改修して宿泊業を営まれる方がいらっしゃいます。
起業を考える方も増えており、創業支援金を受けてキッチンカーなどの飲食関係や翻訳業、自然ガイドなどの開業事例が増えています

子育て支援についてはどのようなものがありますか?

小林さん ご出産には「選べる記念品」贈呈や、第3子以降には新生児1名につき20万円、小中学校、特別支援学校の小・中学部への入学時には10万円がお祝いとして贈られます。

その他、子育てや教育に関わる各種補助制度は年齢に応じて設定しています。木島平村では、妊娠期から成人まで包括的に支援する窓口が役場にあり、きめ細かな対応が、移住された方にも喜ばれ、乳幼児健診時のアンケートでは、子育て満足度100%という評価を受けております。

小さな村の強みを生かして、「コミュニティスクール」をとり入れ、行政・地域・学校が密に連携して村ぐるみでの子育てを掲げ教育に力を入れています。
村には保育園、小・中学校、高校とそれぞれ1カ所ずつあり、学校・学年を超えた交流や地域住民からの学びを盛んに行っています。

保育園は「信州型やまほいく」認定園で、子どもたちは豊かな自然環境の中で、のびのびと成長する環境があります。
冬は雪のため、外での遊びに制限も生じますが、村内の道の駅には屋内遊具があり、小学生以上ではスキー部に所属するなど、雪国ならではの身体の動かし方があります。

(ケヤキの森公園で遊ぶ園児たち)

最後に、移住相談の体制について教えてください

小林さん 電話やメールでの移住相談には随時対応しており、zoomを使ったオンライン相談では海外在住の方との移住相談や、なかなか来村が難しい方に対して情報提供を行ったり、先輩移住者や相談内容に該当する部署の職員と画面越しにお話しいただいたりしています。
移住相談では、地域おこし協力隊を経て定住している職員を中心に、インターネットでは得られない地域の実情や相談者の状況に合わせた情報提供やアドバイスを行っています。空き家バンクの運営も当係で担当しているため、住まいとセットの移住相談が可能です。

また、横断的な対応が可能な点が強みであり、あちこちたらい回しになることなく、ワンストップの相談窓口として機能しており、ご相談に応じて先輩移住者や農家など地域の方とのつながりづくりを支援しています。

県外では、東京のほか名古屋で出張移住相談やセミナー参加を行っていますので、ぜひ一度、ご参加いただければと思います。

(移住相談の様子。2023年9月「ふるさと回帰フェア」東京国際フォーラムにて)

■写真、地図:全て木島平村役場提供

※記事の内容は取材時のものです。最新の詳細については市町村や取材元にご確認ください。


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